耐UV-Cケーブル
新型コロナウイルス対策UV-C殺菌に強いケーブルはこれだ!
昨今、特に254nmの特定波長を持つ耐UV-C性ケーブルに関するお問い合わせが急増しています。
背景は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、UV-C照射による空気、水、とりわけ固体表面の非接触殺菌技術の分野で、着目度が拡大しつつあることです。
ここでは、UV-Cの基本知識とそれに対する最適なケーブルについてご紹介します。


UV-Cとは?
光による殺菌・除菌は迅速かつ効率的であるため、UV-C放射線はウイルス感染拡大対策にも有効と考えられています。化学洗浄剤を使用する方法に代わり、環境にやさしく、また多くのアプリケーションで効果的な除染方法となっています。しかしその一方で、人や物にとっても危険が伴います。
ここでは、まずUV-C紫外線について説明します。
【UV-Cとは】
UV-C紫外線とは、100~280nm(ナノメートル)の波長範囲で、特に高エネルギーの紫外線(UV)の名称です。UV-B(波長:280~315nm)及びUV-A(波長:315~400nm)同様に、太陽から放射され、太陽からの放射線の中では最も短波長のタイプです。
紫外線の種類 | 波長 |
UV-A | 380-315 nm |
UV-B | 315-280 nm |
UV-C | 280-100 nm |
【UV-Cのメリット・デメリット】
ここでは、UV-Cに対する大きなメリット・デメリットを紹介します。
メリット
- 殺菌・除菌効果が高い
- 化学薬品の殺菌が不要
- 短時間で除染が可能
UV-Cライトは、水処理や空気浄化のために、研究所や医療・医薬分野などで以前から使用されています。ライトを使って水や空気、固体の表面を殺菌することで、健康を守ることができます。このために、254nm波長のUV-C放射線が特に効果的であることが分かっています。
新型コロナウイルスはUV-C放射線によっても死滅するため、感染拡大対策では殺菌の手段として有効活用されています。エスカレーターの手すり、スポーツジムの器具、電車車両、映画館、レストラン、倉庫、公共の待合室、エレベーター、オフィスさらに飛行機の機内、手術室、教室などでも有効です。すでにその運用も開始されているアプリケーションもあり、これからますます拡大していく可能性があります。
デメリット
- 特定材質の耐用年数や耐久性へのダメージが大きい
- 人体のへのダメージが大きい
UV-Cが材質に与える影響とは?
波長が短いほど、紫外線が材質やその耐久性、また人間の健康に与える影響は大きくなります。
人間や生物がUV-C放射線を浴びると、目、皮膚、遺伝子までダメージが受けてしまいます。また、UV-Cは発癌性のリスクが高いとされていますので、取り扱いは最も注意が必要な紫外線です。
日光が当たったプラスチック製品や洗濯物の色落ちは、UV-AやUV-Bの影響で、UV-Cよりも長波長であるため、悪影響が少ない紫外線です。
しかし、UV-Cは、プラスチックの高分子を破壊するので、ケーブルの絶縁体やシース、ケーブルグランドやコネクタに使用されているプラスチックも破壊する可能性があります。
長期的には、設置された製品や部品の損傷につながり、また最終的には影響を受けた機械やシステムが故障する可能性があります。
また、モバイル製品や携帯機器では、ハウジングや操作部がUV-C放射線の影響を大きく受けます。
例えばオフィスの除染の場合、UV-C放射線に暴露されることで、モニターやプロジェクター、テレビ、その他製品などのプラスチック製ハウジングやその電源ケーブルなどの劣化現象が加速します。これにより、プラスチックが早々に劣化し、亀裂やひびが入り、早期故障してしまいます。
特に新型コロナウイルス対策では、迅速な解決策が求められます。
LAPPの耐UV-Cソリューション
LAPPでは、研究部門・製品開発でプロジェクトが立ち上がり、耐UV-Cケーブルのお問い合わせに対して、試験・評価・結論が出されました。
ズバリ!最も効果的な製品レンジ:ROBUSTシリーズ
現状LAPPで検証した中で、UV-Cに有効な製品レンジはROBUSTシリーズです。UV-Cは短波で高エネルギーの放射紫外線であり、UV-AやUV-Bの紫外線に比べ極めて危険です。
現状は、UV-C試験に対する試験規格がないため、LAPPでは、UV-C試験方法を開発しました。試験では、試験片に厳しい試験項目を検証しました。
試験項目:
ケーブルの試験基準: | 試験サンプルで観測された変化: |
機械的強度 | 脆化と弾力性の消失 |
視覚的変化 | 表面に見られる顕著な変化 |
物質の放出 | 添加剤の漏出 |
色の変化 | 顕著な脱色や黒ずみ |
臭いの発生 | 一部強い臭いあり |
試験実施の結果、以下の通りになりました。
【耐UV-C性ケーブル】
UV-C放射線の影響を受ける用途では、「ROBUST」シース材を使用したLAPP製品はすべて、特に良い結果が出ています。LAPPでは、このシリーズの製品を推奨しています。
カテゴリ | 製品名 | カタログ閲覧 | アプリケーション |
動力・コントロールケーブル | OLFLEX® ROBUST FD | カタログ | 可動用 |
OLFLEX® ROBUST FD C | カタログ | 可動用/シールド付 | |
OLFLEX® ROBUST 200 | カタログ | 固定・移動用 | |
OLFLEX® ROBUST 210 | カタログ | 固定・移動用 | |
OLFLEX® ROBUST 215 C | カタログ | 固定・移動用/シールド付 | |
制御・計装ケーブル | UNITRONIC® ROBUST | カタログ | 固定・移動用 |
UNITRONIC® ROBUST C | カタログ | 固定・移動用/シールド付 | |
UNITRONIC® ROBUST C (TP) | カタログ | 固定・移動用/ツイストペア/シールド付 | |
フィールドバス(ProfiBUS) | UNITRONIC® BUS PB ROBUST | カタログ | 固定・移動用/PROFIBUS-DP |
センサーケーブル | UNITRONIC® ROBUST S/A FD | カタログ | センサ・アクチュエータ配線用 |
イーサネットケーブル | ETHERLINE® ROBUST | カタログ | 固定・移動用/産業用イーサネット/ROFINET |
ETHERLINE® ROBUST FR | カタログ | 固定・移動用/PROFINET/高難燃性 |


【耐UV-C性がない、または条件付きで耐UV-C性を持つケーブル材質】
- PVC(ポリ塩化ビニル)
- PUR(ポリウレタン)
- 一部の熱可塑性エラストマー
- 一部の電子ビーム架橋プラスチック
- ハロゲンフリー材
LAPPの耐UV-C性製品を選ぶ理由
特にUV-Cアプリケーションでは、製品の長期的な使用に備えなければなりません。
LAPPケーブルは、故障する可能性が低いため、機械のダウンタイムを短縮、メンテナンス期間を延長、時間及びコスト削減につながります。製品寿命が長いことで、より良い計画を立てることが可能です。
ROBUSTシリーズは、耐UV-C性に加え、最も厳しい衛生要件を満足し、必要に応じてスチームジェットや化学洗浄剤を使用することもできます。
今後は、さらに、UV-C殺菌におけるアプリケーション分野で使用できる新製品の開発に着手しています。


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