AWM電線・ケーブルとは
AWM (Appliance Wiring Material)とはUL758で定義されている機器配線用電線です。
ULレコグナイズドのケーブルで機内配線として使用されます。
UL Product iQのスタイル番号・認証・UL登録者コードの記載内容
[スタイル番号]
ケーブルのアウターシースにはAWM STYLE No.がプリントされている必要があります。ただし、NFPA79の12.9.2(3)(d)に従って表示されます。NFPA70/NECに適したリステッド認証のケーブルが無い場合にはNFPA 12.9に従ってAWMを選択することができます。
スタイルオプションの “Style Sheet“ を開くと、以下のような一般的なプロパティが表示される:
- 定格電圧(導体間のみ。ACとDCを分けて表示されることは稀)
- UL老化試験による 最大導体温度、固定/可動時の適用温度
- オイル接触時の最大温度での耐油性
- 難燃性の種類
- AWG/kcmilでの導体サイズ範囲
- 導体サイズに応じた絶縁体の厚さ(通常mils単位)
- 絶縁体材質(導体)
- ケーブル導体撚線タイプ
- シールド
- アウターシース材質
- 使用箇所(特に内部配線と外部配線の違い、又は相互接続の違い …NFPA 79 及びフィールドラベリングを参照)
[UL登録者コード]
UL File No.は大文字の「E」で始まり固有のNo.があります。
(例:U.I. Lapp GmbHのUL AWMは「E63634」です。)
- UL File No.は、承認の種類とケーブル会社を識別します。複数もしくは異なるUL認証を受けたケーブル、ワイヤー、またはコードは、ほとんどの場合、異なるULファイル番号を並行して表示します。
- リステッドケーブルでは、「熱可塑性絶縁電線」や「フレキシブルコード」のような「ファミリー」があり、各社メーカーもファミリーごとに同様のケーブルを製造できます。
- ULファイル・ナンバーよりもやや広い範囲で、ULカテゴリー・コントロール・ナンバー(CCN)を用いて、認証された「ファミリー」と「設置国」を特定することもできます。
例)
- AVLV2:米国使用のUL 758準拠AWM
- AVLV8:カナダ使用のCSA準拠AWM
- ZJCZ:米国使用のフレキシブルコード
- ZJCZ7:カナダ使用のCSA準拠フレキシブルコード
機器配線用電線(AWM)の使用条件
機器配線用電線(AWM)は次のいずれかの条件にて使用が許可されています。
(1)使用目的が特定されたアセンブリの一部
(リステッドハーネス/アセンブリまたはアセンブリグループの一部)
(2)認可された機器でのAWM使用が確認されており、機器メーカーの指示に準拠して使用されている場合
(AWMの規格がアプリケーションと取扱い方法に適合している)
(3)ケーブル構造がNFPA79 12.2~12.6(導体の要件)を満たしている場合
フィールドラベルとAWM
【機内配線】
(1)産業用プラットフォーム(機械周り)の「機内配線」に注目します。NFPAは、12.9.2により手頃な価格のAWMの使用を許可しています。(※NFPA79 2021年版では4.4.2.8のサーボ/VFDの場合でも12.9.2を満足している場合AWMの使用を禁止していません。)フィールドラベリングの場合、電源に向かって分岐回路を遡ったとき、NFPA79の適用対象は実際どこまででしょうか?
ー13.1.6.1項
「装置やシステムの構造に沿って、または機械に沿って配線された露出ケーブルは許可されるものとし、装置の表面やフレームに沿って配線されなければならない」⇒これはLPC(限定生産認証)やリスティングにも適用されます。
ーフィールドラベリング (AHJの単発検査)
フィールドラベリングに基づくNFPA79の適用範囲は、その機器が屋内の壁や天井から切り離されている場合には、(13.1.6.1の範囲を超えて)完全に「機内」と認識されることが多い。
※ただし、最終的にはAHJの判断に従った対応が求められます。
ーNECやNFPA79の12.3.1に基づく適切なリステッドケーブルがない場合
機械周りの特定の露出個所について、AHJは耐油性、難燃性、外部配線スタイルを要求することでAWMの使用を許可します。ただしこの場合、同じ定格電圧にもかかわらず、機外配線用のケーブルは機内配線用のケーブルよりも肉厚になります。
ーMTW、PLTC、ITC、またはCMGなどの高価なリステッドケーブルではないAWMの可動用ケーブル(AWM Style No. 21576)が指定されることが多くなっています。(定格電圧 1000V、簡単な水平燃焼試験クリア、機内配線用)
【機外配線】
(2)フィールドラベリングでの機外 (下図のようにロボットと安全柵間の配線)の場合を考えてみましょう。
- ケーブル全体で、最も厳しい配線箇所の要件を満たす必要があります。
- ULケーブル燃焼試験は、機外配線における必要最低限の難燃性です。
- ULケーブル燃焼試験の公式ケーブルマーキングはありませんが、機外配線では最低でもVW-1の難燃性が保証されていなければなりません。
- 「機外配線」「電源から離れている」のようなNFPA70/NECで要求されている箇所では、例えばFT4などさらに高度な燃焼試験などが必要です。
- フィールドラベリングにかかわらず、機外の露出配線では、NEC / NFPA70から選択されたリステッドケーブルが必要です。
ケーブルの屈曲について
屈曲についてはNFPA79 12.2.2表 のASTM導体クラスに基づいています。
ASTMとは、世界最大規模の標準化団体である米国試験材料協会 (American Society for Testing and Materials)であり、標準試験方法、仕様、作業方法などを作成・出版しています。
ケーブルの屈曲種類は下記の3つがあります。
- “Nonflexing“ Construction = 固定用配線(可動なし、配線後に動き無し)
- “Flexing“ = 移動用配線 (連続ではない一時的な動き、配線時の曲げ)
- “Constant Flex“ = 可動用配線(連続的な動き、繰り返しの動き)