【なぜEMCは重要なのか?】

 

産業界における機械、装置、プラントでは、最新の配線テクノロジーが取り入れられています。昨今では、インダストリー4.0、ビッグデータ、オートメーションプロセスなども多く取り上げられます。

以下のように、装置内では、インバータ、サーボ、スイッチ、センサー/アクチュエータおよびPLCなど、様々なFA機器によって制御されます。 特にインバータなどのスイッチング動作には常にノイズ干渉のリスクが含まれるため、機械、装置、プラントを設計するには精度と正確さが要求されます。究極のところ、ダウンタイム、プロセスエラーが発生することなく、円滑に機能することです。

 

昨今、複雑化するシステム内で、電力供給機器や電子機器が混在している中で、EMC(電磁両立性)を考慮しつつ、いかにシステム全体をスムーズに稼働させるかが重要となってきます。

【EMCとは】

 

EMC(電磁両立性)とは、機器やシステムがノイズを発生させず、また、他の機器やシステムからノイズの影響を受けても満足に動作する耐性のことです。

  1. ノイズを引き起こさない(ElectroMagnetic Interference=EMI=エミッション)
  2. ノイズから影響を受けない(ElectroMagnetic Susceptibility=EMS=イミュニティ)

 

【LAPP製品とEMC指令の立ち位置】

 

欧州では、EMC指令が制定され、その指令によって、規制がなされています。
この指令では、ノイズ(電磁干渉)を引き起こす可能性、ノイズ(電磁干渉)の影響を受ける可能性のある機器すべてに適用されます。

しかし、電線・ケーブル、コネクタは、EMC指令においては、直接関連しない部品です。そのため、この指令の適用範囲内には入りません。つまり、弊社製品では、EMC指令におけるCEマーキングは適用されません。
※ケーブル関連は、低電圧指令・RoHS指令におけるCEマーキングが適用となります。

[ケーブルにおけるEMC特殊要件]
EN50525-2-51では、編組シールドケーブルの銅編組の最小効率についての定義が記載あります。
また、モーター用のケーブルにおいては、ドライブメーカーにてEMC準拠の設置要件を定める必要があるため、使用するモーターケーブルの種類を指定する必要もあります。

【ケーブルのEMC対策】

 

ケーブルのEMC対策としては、ノイズの伝達を回避・低減するために、シールドによって保護する必要があります。
モーター、スイッチ、電力供給ケーブルや電線は、ノイズを引き起こし、データケーブルなどに影響を及ぼす場合があります。
つまり、シールドによって、以下対策を行う必要があります。

動力ケーブルなどはノイズを引き起こさないEMI対策

(EMS対策も考慮が必要)

 

フィールドバス、イーサネットケーブルなどは、ノイズの影響を受けないEMS対策

(EMI対策も考慮が必要)

【ノイズと伝達インピーダンス】

 

ここでは、ノイズが伝達する、いわゆるカプリング(結合)メカニズムを紹介します。

まずは、ノイズ源(ソース)があります。通常、インバータ・サーボアンプ・モータなど、高電流またはスイッチング動作を伴うものが当てはまります。ノイズ源は電磁ノイズ波を発生させ、カップリング(結合)メカニズムを介して、デバイスなどに到達し、ノイズの影響を受ける(ドレイン)ことになります。

 

 

●ノイズ

ノイズのメカニズムは4つあります。

 

[コモンモードノイズ]

コモンモードノイズとは、ノイズ源とドレインが導電的に接続されている場合に、様々なノイズ電流がGNDを伝わってデバイスの電源ラインに流れるノイズです。

 

[静電ノイズ]

静電ノイズとは、静電結合とも呼ばれ、近くにあるケーブルとその電界との間の電位差によって引き起こされるノイズです。測定回路の隣に、交流電源がある場合などに発生します。

 

[電磁ノイズ]

静電ノイズとは異なり、導体内で発生するインダクタンス(磁場)によって、近接する導体に干渉ノイズを引き起こすノイズです。

 

[放射ノイズ]

ノイズ源とドレインにある程度距離が保たれている場合に発生するノイズです。

回路や電線がアンテナのように動作し、電磁波を出します。

 

●伝達インピーダンス

ケーブルのシールド有効性は、伝達インピーダンス(mΩ/m)や減衰量(dB)によって決まります。

伝達インピーダンスとは、シールドケーブルの長さ1mにおいて、シールド面に沿って測定された電圧と、シールドに流れている電流の比率で設定されます。

 

  •   伝達インピーダンスの値は周波数によって変化します。
  •   高い周波数(>50MHz)の場合、シールドの減衰量(dB)が適用されます。
  •   伝達インピーダンス(mΩ/m)と減衰量(dB)は計算ができません。

 

OLFLEX® 110 CY 7G1.5における伝達インピーダンス

 

伝達インピーダンス測定

ケーブルまたはハーネスの伝達インピーダンスを測定する最も一般的な方法は、EN50289-1-6の【三軸試験管法】です。

この試験方法は、ケーブルのシールド効果の評価として用いられます。

 

 

R = 抵抗 (Ω)
L = 試験用シールドの長さ
U1 = 抵抗器の前で測定された外部システムの電圧 (V)
U2 = 抵抗器の端で測定された内部システムの電圧 (V)

 

この測定機器には2つのシステムがあります。

① ケーブルの導体とシールドで構築
② シールドと測定チューブで構築

①で生成された電流は、②に電圧を誘導します。

この電圧を使用して、伝達インピーダンスを計算できます。

【シールドの種類】

 

本来、最も効果的なシールドは、太い銅管になります。
しかし、銅管を曲げることはできないため、ケーブルを直接入れることはできません。また、工場内のケーブルの周りに銅管を取り付けるのも非常にコストがかかります。ケーブルでは、銅素線やテープ、アルミホイルを使用した遮蔽が現実的です。ここでは、LAPPのシールド仕様のケーブルをご紹介いたします。

●LAPPのシールドタイプ

  • 銅編組シールド
  • アルミホイルシールド
  • アルミホイル+銅編組シールド
  • 銅スパイラルシールド
  • スチール編組シールド (※EMC対策ではなく機械的保護を目的とする。)

[銅編組シールド]:

 

可とう性に優れた一般的なシールド構造です。LAPPの編組の構成は、ケーブルの約85%の範囲をカバーします。

[アルミホイルシールド]:

 

ポリエステルなどにアルミ蒸着させたラミネートホイルシールドです。
主に低周波ノイズに効果的です。
ホイルシールドの利点として、カバー率は100%、ケーブルの軽量化・小径化が可能です。

[アルミホイル+銅編組シールド]:

 

銅編組に加え、ラミネートアルミホイルを付け加え、より高周波から保護できるシールドです。主にサーボモータ用のケーブルや、ETHERNETケーブルに用いられます。

[銅スパイラルシールド]:

 

ロボットアプリケーションのように、可とう性と捻転を伴う動作にも効率よく適応できるシールド構造です。

編組シールドに似ていますが、スパイラルシールドでは導体又は線心の周りに一本の銅撚線が螺旋状に巻かれています。編組シールドよりも柔軟性があり、終端処理が簡単です。被覆率は95%~98%が一般的です。

【シールド効果】

 

ここでは、伝達インピーダンスによるシールド効果を説明します。

 

グラフ内、オレンジ色の線は、銅編組ケーブルの伝達インピーダンスを示しています。

低周波レベル(最大1 MHz)までは、電圧インピーダンスは同じレベルにとどまります。これの要因は、シールドの直流抵抗であるためです。1 MHz以上では、誘導結合及び容量結合により、伝達インピーダンスが上昇します。

一方で、編組のカバー率により、効果も大きく変わります。編組が電線の表面を広範囲にカバーしている場合、通常シールドは効果的です。(LAPPケーブルは85%のカバー率です。)

対照的に、その他のケーブル(青線・緑線)は、それぞれ銅編組とアルミホイルの場合を示しています。グラフに示すように、アルミホイルは高周波数で効果的です。そのためアルミホイルは、ほぼすべてのデータケーブルに使用されています。ただし、銅編組とアルミホイルの両方を使用したシールドはさらに効果的であるため、データケーブルを保護する必要がある場所では、二重シールドケーブルを推奨しています。

【シールド接地タイプ】

 

ここでは、例として、コントロール・データ伝送における接地パターンをご紹介いたします。

[シールドの適切な接地]

コントール及びデータケーブルは、ケーブルの両端シールドが完全にグランドと接地している必要があります。

[等電位が難しい場合]

周波数変換器とPLCの間の等電位が難しい場合などは、アースボンディングを追加することで対応できます。

[接地の効果が悪い場合]

静電ノイズに対する優れた保護ができるため、アース線が適切です。電線は可能な限り短く、導電性が高く(断面積が大きい)、またグランドループを作らないような注意が必要です。

 

シールドの最大効果を引き出すには、広範囲にわたる低インダクタンスシールドが前提です。

しかし、信号の種類によっては、接地の方法も異なり、一般的な方法としては、

  • デジタル信号線の場合、シールドは常に両端、つまり送信機と受信機の広範囲にわたり接地する必要があります。
  • アナログ信号線の場合、両端にシールドが取り付けられているため低周波干渉が発生する可能性があります(グランドループ)。この場合、シールドは機器の一端のみに取り付ける必要があります。

【EMC対策アクセサリ】

 

LAPPではケーブリングシステムソリューションとして、EMC対策用のアクセサリも豊富にラインナップしています。

 

SKINTOP® ケーブルグランド
SKINTOP® MS-SC-M
  • メタル製ケーブルグランド
  • 低抵抗シールドコンタクト、高伝導性のバネ式EMCコンタクト
SKINTOP® INOX SC
SKINTOP® HYGIENIC SC

  • 耐腐食性ステンレス製ケーブルグランド
  • 凹凸のない滑らかな表面、コンパクトなデザイン、耐海水性、製品ゾーンで使用できる衛生的シリーズにバネ式EMCコンタクトを搭載

INOX SC

HYGIENIC SC

SKINTOP® BRUSH
  • メタル製ケーブルグランド
  • 低抵抗の360°ブラシ仕様のEMCシールドコンタクト
  • ノイズ減衰も効果的

 

EPIC® 産業コネクタ
EPIC® ULTRA
  • ニッケルメッキの本体とステンレス製部品
  • ハウジング部品及び組み込まれたシールド接触ブラシがEMC対策に効果的
EPIC® POWER
M17, LS1, LS1.5, LS3

  • 主にサーボケーブルで使用されるEMCケーブルグランドが組み込まれた防振コネクタ


EPIC® SIGNAL
M17, M23

  • センサー、フィールドバス、リゾルバまたはエンコーダケーブル用のEMCケーブルグランド付きコネクタ

M17 SIGNAL

M23

 

SILVYN® コンジット(フレキ配管)
SILVYN® EMC
AS-CU

     
  • ワンフック形状、EMC編組のメタル製コンジット

SILVYN® MSK-M

BRUSH

  • ニッケルメッキ真鍮コンジットコネクタ
  • EMC用360°ブラシシールド付

 

アクセサリ
3M Scotch™ 1183
シールドテープ

   

 

  • 導電性の優れたシールドテープ
銅編組線

  • シールド無ケーブルにシールドを追加
アースボンド線
  • PVC絶縁にM6,M8丸端子付き
接地用フラット
編組線
  • 錫メッキ銅編組のグランド線
  • 盤の扉などで有効
錫メッキ銅ロープ
  • 錫メッキ銅細導線(導体:Class 2, 5)
  • メッシュ等電位ボンディング

 

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  • キャンペーン期間は4月5日ー6月5日までです。
  • マルチツールのプレゼントはLAPPオンラインショップから本ページにリンクのあるEMC対策製品をご購入された方に限ります。
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  • 他のキャンペーンやクーポンとの併用はできません。
  • 当社は、本キャンペーン内容を予告なく変更する場合がございます。予めご了承ください。
  • 本キャンペーンは、LAPPのご利用規約が適用されます。利用規約の詳細はこちらをご確認ください。

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