シングルペアイーサネット APL (Advanced Physical layer)
昨今の産業界では、より多くのデバイスが接続され、より多くのデジタル通信が行われ、データ・トラフィックは増加の一途をたどっています。また、フィールドレベル(現場)の最小センサーに至るまで、エンド・ツー・エンドのモニタリングと制御がますます重要になり、興味深いものとなっています。これこそが、シングルペアイーサネットがキーソリューションになります。そして現在システムのネットワーク相互接続や、デジタル化をするIIoT/Industry4.0は、プロセスオートメーションにも及んでいます。LAPPではプロセスオートメーション産業でも有効なSPE APLケーブルを開発しています。
Ethernet‐APL(Advanced Physical Layer)とは?
イーサネット・アドバンスト物理層Ethernet-APL(Advanced Physical Layer)とは、その一部がSPE(10Base T1L)をベースにしており、要求の厳しいプロセスオートメーション産業アプリケーション向けに設計されています。
この技術は、本質安全防爆タイプの保護として、爆発の可能性がある環境において、フィールドレベルまで安全なデータ伝送を可能にします。これは、IEC TS 60079-47に準拠した2-WISEコンセプト(2-Wire Intrinsically Safe Ethernet)に基づいています。
また、Ethernet-APLは1000mまでの長距離伝送も可能です。10MBit/s、全二重で1000mまでのケーブル長で通信し、プロセスプラントのフィールドで信頼性の高いオペレーションに必要な属性を提供します。Ethernet-APL は物理層であり、PROFINET を始め、HART、EtherNet/IP他、上位の Ethernet プロトコルをサポートしています。
プロセスオートメーションの要求仕様
プロセスオートメーション産業では、耐薬品性、耐油性、難燃性、耐熱性、耐寒性、耐機械的ストレス、耐震性、堅牢性、信頼性、耐ノイズ性などケーブルに求める要求仕様も多く、配線する場所や距離に応じて好適なケーブルを選定する必要があります。また、爆発性環境に対応する必要もあります。APLは、にプロセスオートメーションのフィールドレベルでもイーサネット環境を提供し、シームレスなネットワークを構築できます。
Ethernet APLアドバンテージ
Ethernet-APLは、10BASE-T1Lシングルペアイーサネット伝送規格に基づく、堅牢な2線式ループ電源イーサネット物理層です。SPE特性に加え、さらにプロセス産業に特化したアドバンテージがあります。
●防爆エリア適合性:
Ethernet-APLは、爆発性雰囲気があるエリアでのフィールドデバイス管理が可能です。例えばデバイスが故障した場合、爆発性雰囲気の可能性があるエリアでもイーサネットネットワークの簡潔化、統合、自動検出、インテリジェントなデバイス管理によりライン稼働中に交換を行うことができます。
●システムの相互運用性:
APLのコンポーネントは、コンフォーマンステストにより分類され、単一ネットワークベースにより、デバイスのシームレスな相互運用を保証しています。
●長距離配線:
最大1,000m。イーサネットでは最大100メートル。
プラント産業など長距離をカバーする場合は特に有効です。
●伝送レート:
Ethernet-APL は、PROFIBUS PA や FOUNDATION Fieldbus の31.25 kbit/s に比べて大幅に向上した最大10 Mbit/s のデータ伝送が可能です。これにより、より正確でタイムリーなプロセス情報や、診断、校正、検証などの追加データへのアクセスが可能になります。
●2WISE :
APL ケーブルでは、フィールドデバイスとフィールドスイッチ間のデータおよび電力伝送が並列に行われます。同時に、APLケーブルは2WISE(2線式本質安全防爆イーサネットコンセプト)により、防爆エリアでの動作に適合しています。標準化されたAPLケーブルは、既存のフィールドバスプロトコルとも互換性があります。
LAPPのEthernet-APLソリューション
[SPEケーブルソリューション]
ETHERLINE T1L および ETHERLINE T1L FLEX は、Ethernet-APL に求められるすべての要件を満たし、10Mbit/s で最大 1000m の伝送距離を実現します。
●ETHERLINE T1L:ソリッド銅導体(単芯)を採用し、固定配線用に設計されています。
●ETHERLINE T1L FLEX:撚線導体を採用し、プロセスプラント内の振動などの機械的ストレスに最適で、移動用アプリケーションにも好適です。
本ケーブルは、耐油性と耐UV性も備えています。また、二重シールドを採用し、潜在的なノイズの送受信に対するケーブルのシールド効果を最大限に高めています(EMC対策)。また、IEC 61156 Part 13に準拠した本質安全防爆回路に必要な青色シース、電気伝送特性に加え、さらにUL listedに準拠し、PLTCを取得するなど、北米市場向け認証も取得しています。
防爆エリアとEthernet-APL
Ethernet-APLコンポーネントは「本質安全」の防爆タイプであるため、ゾーン0の爆発性の高い領域まで使用することができます。
防爆エリアとは、爆発性雰囲気が発生する可能性のある区域であり、6つのゾーンに分類されます。この分類は、爆発性雰囲気が発生する頻度や時間の長さによって決まります。
[ゾーン0,1,2]
→引火性ガス、ミスト、蒸気用の3つのゾーン
[引火性ガス・ミスト・蒸気]
●ゾーン0:爆発性雰囲気が、継続的または長期間存在するエリア。
●ゾーン1:標準的な運転中に、空気とガス、蒸気または、ミストの可燃性物質との混合物によって、爆発性雰囲気が発生する可能性のあるエリア。
●ゾーン2:爆発性雰囲気がまれに短時間だけ発生するエリア。
[ゾーン20,21,22]
→引火性粉塵用の3つのゾーン
[引火性粉塵]
●ゾーン20:可燃性粉塵からなる爆発性雰囲気が、継続的または長時間存在するエリア。
●ゾーン21:標準的な運転中に、可燃性粉塵によって、爆発性雰囲気が発生する可能性のあるエリア。
●ゾーン22:可燃性粉塵によって爆発性雰囲気がごくまれに短時間だけ存在するエリア。