ファクトリーオートメーション(FA)通信ネットワーク
ファクトリーオートメーション(FA)で、重要な要素の一つ、通信ネットワークは、安全にかつ正確に設備を稼働する上で確実な構築が求められ、また、ケーブルや接続コネクタ構成も合わせて最適な選定が必要です。
ここでは、ファクトリーオートメーションのネットワーク構成要素とケーブルやコネクタの選定ポイントを紹介しています。
通信ネットワーク
通信ネットワークの構成要素
センサー、アクチュエータ、コントローラ(PLC)等から、ファクトリーシステムを構築するには、こうした構成要素すべてをまとめる通信ネットワークが必要です。
産業用通信ネットワークにおける重要な要素は次の通りです。
- アプリケーション依存のケーブルタイプ(可動用、耐熱用、屋外、ロボット用など)
- コネクタ(形状、IP製、堅牢性など)
- ネットワークトポロジー
- 伝送方式の分類:フィールドバス、またはイーサネット
- スイッチやI / Oモジュールなどのネットワーク構成要素
ネットワークケーブル
[ネットワークケーブルの構造]
一般的な、通信ネットワークのケーブルの構造は、以下図のように、大きく4区分されています。特にファクトリーオートメーション(FA)では、外的なメカストレスや環境、またノイズの影響を最大限に抑え、データを安全かつ安定して伝送できる、いわゆるタフな仕様である必要があります。
ここでは、ファクトリーオートメーション(FA)で使用される一般的な通信ネットワークケーブルについて解説しています。
① 銅導体 電気を通す媒体
② 絶縁体 導体を保護し、電気性能を最大限に発揮させる役目
③ シールド 電磁干渉(EMC対策)を担う役目
④ シース 電線を外的なメカストレスや環境から保護する役目
[①銅導体]
銅導体(心線)は、電気エネルギーを伝送(電力供給)するか、電気インパルスを送信、いわゆるデータ通信する媒体です。一般的に、導体は、高電気伝導率、伝導率の低温特性、高熱伝導率、高機械的強度がある銅やアルミニウムでできています。
またスズ、金、銀、ニッケル製などのメッキコーティングもありますが、その役目は、多くの場合、金属面を腐食から保護する事を目的としています。そして、ネットワークケーブルの柔軟性は、以下表の導体の構造によって決まります。
ケーブル構成 | 単心 | 7本撚線 | 19本撚線 |
設置方法 | 固定 | 一時可動 | 高可動 |
導入例 | トレイケーブル | パッチケーブル | ケーブルチェーン / トルクケーブル |
LAPPの略称 | /1 | /7 | /19 |
通信ネットワーク導体の最も単純な構造は、単芯です。単線は一定の外径があるため、断面が大きく高剛性があり、多芯のものはより高柔軟性です。それぞれメリットデメリットがあるため、使用するアプリケーションによって導体構成も考慮する事も重要です。
単芯ーメリット:高速で安定した伝送
デメリット:ソリッド線の為、固定配線で使用
撚線ーメリット:撚線の為、柔軟な取り回しが容易
デメリット:距離が長い場合、伝送が不安定
[②絶縁体]
絶縁体とは、導体の保護―ショートの回避、導体が電気信号を送るのを最大限にサポートする役割です。絶縁用のプラスチックは、電気伝導率がごくわずかで、吸水能力も低く、また高耐熱性、高耐摩耗性です。よく使用される絶縁体は、PVC、PE、XLPE、PP、PTFE、TPEです。
[③シールド]
高周波では、ケーブル内の電線はアンテナのように機能します。つまり、ケーブルの周辺、例えば近くのケーブルに電磁界を放出し、また逆に電磁界を吸収します。そういった電磁界(ノイズ)からデータ伝送機能を保護するため、シールドが施され、EMC対策を考慮しています。
一般的なシールドと材質には、銅線(主にスズでコーティング)で作られた編組シールドと、アルミニウム又は銅で作られたホイルシールドがあります。編組シールドは主に低周波干渉に対する保護、フォイルスクリーンは高周波干渉に対する保護を目的とします。
[④シース]
ケーブルのシース(アウターシース/ジャケット/被覆)は、内部ケーブル構造を外的ストレスから保護する事を目的としています。耐油性、耐薬品性(酸、アルカリ)、メカニカルストレス(摩耗、捻じれ)、耐環境性(UV、オゾン)から保護します。ケーブルの耐久性には、シース材の適切な選択が重要です。一般的には、TPE、PUR、PVCなどのプラスチックが挙げられます。
ケーブルの選定基準
ケーブルは、動作条件やアプリケーション、周囲環境に適したものを選定する必要があります。選定には、次の基準を考慮する必要があります。
- 使用目的:ケーブルは電力供給用?または信号伝送用?
- 使用先:必須規格、認証は?
- 使用温度:使用温度範囲?(電気伝導率、動作伝導率)
- アプリケーション:ケーブルは固定配線?または可動配線?
- 配線方法:敷設方法、柔軟性、接続方法は?
- 使用環境:耐油性、耐薬品性、耐水性、耐湿性、非可燃性、耐UV性?
コネクタ
コネクタとは、取外し可能な接触域により2つの伝送部品を互いに電気的接続する電気部品です。電気接続が取外し可能であれば、機械及びプラントの設置、アプリケーションの柔軟性、移動時や設備の解体・組立、システム構成要素の修理とサービス、また取り扱いが簡単になるため、非常に重要です。
昨今、ネットワーク用途では、M12なども多用されています。
[コネクタの構造]
コネクタは、インサート・ピン及びインサート・ソケットの2部分から構成され、ハウジングによって組み立てられます。
[コンタクト(接触域)
取外し可能な接触域、つまりコンタクト(ピン・ソケット)の主な要件には、高導電性、高耐食性、高耐摩耗性が挙げられます。銅または銅合金は、導電性があるため、主に接触用に使用されます。腐食防止機能用に銀メッキや金メッキが施されたコンタクトが主流です。
[ハウジング]
ハウジング(フード、カプラー、パネルマウントなど)の主な機能には、コネクタの機械的安定性の確保、電気接続の保護、電気シールド機能や環境適合性の確保などが挙げられます。ハウジングは、プラスチックまたはアルミ合金などの金属合金から成り立ちます。
[勘合面]
コネクタの接続面の形状は、勘合面と呼ばれ、丸型や角型の勘合面があります。コネクタのご挿入を防ぐために、key溝コーディングを使用する事が一般的です。コーディングは、ラグやスナップフックなどのハウジングの形状によって適用されます。
[極数]
プラグのコンタクトの配置及び性質は、極数と呼ばれます。極数の定義は、同じシステムのコネクタのみを相互結合するために使用します。
[電線接続方法]
はんだ付け
はんだ付けは、単芯と撚線の両方に使用できます。比較的安価で接続できますが、人のスキルに作用され、工数がかさむというデメリットもあります。
ネジ接続
ネジ接続とは、単芯及び撚線の両方の接続に使用でき、電線の取外し可能な接続方法です。ネジ接続では、特殊工具が不要で、手軽に出来る最も容易な接続方法です。
圧着
圧着コンタクトは、ケーブル導体及びコネクタの圧着接続部分の間を圧力嵌めする接続方法です。圧着は専用工具を使用します。
圧接
圧接では、電線の絶縁体を剥かず、単芯及び撚線の両方を接続できます。電線がコネクタの刃の隙間に押し込まれると、ケーブルの絶縁体が裂かれ、導体との接触圧力も確保されます。
ここでは、ファクトリーオートメーション(FA)における通信ネットワークの基礎的な知識を紹介しました。
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