光ファイバーケーブル


光ファイバーケーブルを用いた信号の光伝送は、 「全反射」の原理によって機能を果たします。全反射は光学的に、より薄いシースで光伝導線を覆うことにより実現されます。光はシースの境界面によって全反射され、光ファイバーケーブルを伝わります。高速で安全な通信ネットワークに対する需要が高まり続ける中、データ伝送においては、光ファイバーケーブルは必要不可欠な通信媒体になっています。
光ファイバーケーブルとは
石英ガラスやプラスチックのコア(芯)を持ち、ベースバンド方式に対するブロードバンド方式で、信号を光キャリアに載せて長距離まで伝送できるケーブルです。ただし、銅線を使う電線・ケーブルに比べ、ガラスをコア(芯)にする分、メカストレスに弱いため、介在や各種耐性のあるシース、補強材などを入れて、強度のあるケーブルに仕上げている場合が多くあります。
光ファイバーケーブルの特長
産業界やインフラストラクチャー、一般家庭にまで使用される光ファイバーは、信号を伝送する上で、銅線を通信媒体にする電線・ケーブルに比べ、決定的な特長があります。
[特長]
・信号の減衰が少ない
・ノイズの影響を受けない
・長距離、大容量伝送が可能
・接続デバイスとの電気的絶縁
・軽量
・爆発危険区域でも配線可能


光ファイバーケーブルの種類
光ファイバーケーブルには3種類の構造があります。伝送速度や、伝送距離によって選定が異なります。
ここでは、3種類、GOF,POF,PCFの解説をします。
GOF(Glass‐Optical-Fiber)
耐久性のある石英ガラスを使用した光ファイバーケーブです。屋内、屋外及び産業向けにSIMPLEX・DUPLEX共にラインナップし、マルチモードではOM1~OM4、シングルモードではOS2がご利用いただけます。さらに産業用途で、屈曲、可動用ケーブルも設計されています。
コア:
- 50µm、62.5µm → マルチモード
- 90µm → シングルモード
グラッド:
- 125µm
- 全反射マルチモード(step index)
- 反射マルチモード(graded index)
- wave conductor SM (step index)
バッファ:
- 250µm
- ダメージ保護
ケプラー:
- アラミド繊維
- ストレインリリーフ
絶縁体:
- メカストレス保護
POF(Plastic‐Optical-Fiber)
低速、近距離向けにプラスチック製のコアを使用した、光ファイバーケーブです。コア自体もプラスチックな為、柔軟性に優れ、機械周りの可動部での使用などに好適です。SIMPLEX及びDUPLEXの両方をラインアップしています。
コア:
- 980µm
- アクリル樹脂(PMMA)
グラッド:
- 1000µm
- フッ素ポリマー
絶縁体:
- ダメージ保護
- PE / PVC
ケプラー:
- アラミド繊維
- ストレインリリーフ
絶縁体:
- メカストレス保護
PCF(Plastic‐Cladded-Fiber)
中速、中距離向けに石英ガラス製のコアに、フッ素樹脂をクラッドに使用した、光ファイバーケーブです。コアが石英ガラスの為、POFに比べ、伝送損失も少なく、最大70mの伝送距離に使用可能です。また、機械周りの可動部用にPEバッファーチューブ付での使用などに好適です。SIMPLEX及びDUPLEXの両方をラインアップしています。
コア:
- 200µm
- 石灰ガラス
グラッド:
- 230µm
- プラスチック
バッファ(テフロン):
- 500µm
- フッ素樹脂
- ダメージ保護
ケプラー:
- アラミド繊維
- ストレインリリーフ
絶縁体:
- メカストレス保護
光ファイバーケーブルの分類
光ファイバーケーブルといっても、アプリケーションや通信距離によって、選定するケーブルが異なります。LAPPの光ファイバーケーブル分類としては、以下のようなツリーで表すことができます。
モードタイプ
[マルチモード(Multi-Mode)]
光の屈曲を利用して進めるモードで、短距離から中距離伝送に好適です。
[シングルモード(Single-Mode)]
光を直線的に進めるモードで、長距離伝送に好適です。
データ伝送タイプ
[シンプレックス(SIMPLEX)]
データ伝送1方向(単方向)タイプ:送信側はデータ伝送のみで、データ受信は出来ません。
例)テレビ配信、センサー出力
[デュプレックス(DUPLEX)]
データ伝送双方タイプ:送信側も受信側も同時にデータ送受信が出来ます。
例) イーサネットスイッチ、サーバー
屈折率分布
[ステップインデックス(Step-Index)-マルチモード]
光の屈折率の高いコア(芯)を進む光は、光の屈折率の低いクラッドと呼ばれるガラスに反射されながら進みます。そして、光の入射角度によって光の進み方が変わり、ジグザグに伝搬します。入射波は、同時に同じ速度で、進みますが、鋭角や鈍角で入射した光は伝搬に差異ができ、出力到達の時間が異なりモーダル分散と呼ばれる時間分さんが発生します。その結果、符号間干渉発生や、ビット誤り率が増加するため、短距離、低速(8MB/s以下)の通信システムで使用されることが多くなります。
[グレーデッドインデックス(Graded-Index)ーマルチモード]
グレーデッドインデックスは、ステップインデックスのような伝搬信号の歪みを改善し、大幅な帯域幅を確保しています。屈折率が緩やかになり、屈折率は中心から徐々に減少し、クラッドと同じ値に減少します。光は正弦波振動で進みます。通常、中距離及び、比較的高速(34~140MB/s)のアプリケーションに好適です。
[ステップインデックス(Step-Index)-シングルモード]
ファイバのコア(芯)径を細くし、モードをシングルにする事によって、高帯域幅に対応した長距離通信(1km~)に好適な光ファイバです。パルスの広がりや、マルチモード分散の制限がありません。