【事例紹介】高層ビルーManntech
OLFLEX®ケーブルによって実現した絶景
アラブ首長国連邦の首都アブダビに、新しいスカイラインが建設されました。英国を代表する建築家、ノーマン・フォスター男爵(フォスター・アンド・パートナーズ)は、プロジェクト開発者のアルダー・プロパティズ・プロジェクトから、旧市街の中心に新しいセンターである、いわゆる「セントラル・マーケット」の設計を委託されました。街の新しい建築物で最も目を引くのは、2塔の超高層ビルのDomain Tower(381 m)とTrust Tower(278 m)です。Trust Towerは、Manntechが提供する2つの革新的なファサード・アクセス・システム(※ファサード・アクセス・システムは、建物のファサード又は建築物正面部で日々の作業を行うためのシステム)が使用されており、ペルシャ湾を見渡せる絶景を楽しむことができます。このシステムに使用されている接続ケーブル及びコントロールケーブルはLAPPのものです。
課題
本プロジェクトは、標準のプロジェクトとは程遠いものでした。建物が型破りなデザインのため、Manntechは全く新しいファサード・アクセス・システムを開発しなければなりませんでした。
Trust Towerのファサード(正面部)は、建物上部に曲がりくねっています。つまり、台車を常に傾斜した状態で移動させなければなりません。部分的にガラス張りの屋根も51°の角度になっており、建物は爪のついた人差し指を上げたような形をしています。
もう1つの難題は、投資家の要求により、ファサード・アクセス・システムを吊り下げているクレーンを見えないよう隠す必要があることでした。タワーの頂上には、プール付きの豪華なマンションがあるため、海の眺めが損なわれることが懸念されていました。


ソリューション
Manntechの設計者は、ファサードの左側と右側のレール上にそれぞれ2つの並列ファサード・アクセス・システムを開発しました。清掃とメンテナンス時以外は、2つのシステムは超高層ビルの「指先」にあたる一種のガレージに隠されます。必要に応じて、レール上に出されます。
次に、台車は油圧により回転し、別のレールを介してファサードの端に移動します。ここで台車は再び回転し、曲がりくねった長さ150メートルの線路上に配置されます。これで準備完了です。クレーンが回転し、張り出し棒が上下し、回転ヘッドを使用してゴンドラがファサードに沿って正確に移動します。


使用製品
電動レールクレーンの動力ケーブルと、信号ケーブルの配線には、LAPPの難燃性ハロゲンフリーのOLFLEX® CLASSIC 130 H 動力・コントロールケーブルが使用されました。
Manntechは、難燃性ハロゲンフリーのOLFLEX® SERVO FD 796 CPモーターケーブルを使用した合計9つのモーターを設置しました。
OLFLEX® CLASSIC 400 P及びシールドバージョンのOLFLEX® CLASSIC 400 CPは、エンコーダケーブル/モーターケーブルの他、単純な位置切替器の接続や、クレーンを制御するための多心ケーブルとしても使用されています。
ゴンドラの移動経路、方向、位置を決定するために使用されるセンサーは、高柔軟性のUNITRONIC® FD CP plusデータネットワークケーブルを使用して、接続されています。


OLFLEX® CLASSIC 130 H
耐火特性に優れたハロゲンフリーケーブル
柔軟性に優れており、また海事用途向け認定も取得済みです。空港や駅などの公共施設、プラントエンジニアリング・産業用機械、空調システム、ステージ用途などに適しています。


OLFLEX® SERVO FD 796 CP
高可動使用向けPURサーボケーブル
厳しい条件でのケーブルキャリアに使用可能。UL/CSA AWM及びVDE認定。低キャパタンス設計で、また多くの鉱油ベースの潤滑油、希酸、アルカリ性水溶液、化学媒体に対する耐性があります。


OLFLEX® CLASSIC 400 P
耐油性を誇る動力・コントロールケーブル
黒アウターシースのものはDESINA準拠。高耐油性・耐摩耗性・裂傷耐性などがあり、産業用機械及び工作機械、測定・制御・電気用途、食品製造及び包装機械などに適しています。
成果
本プロジェクトのような超高層ビルでは、すべてが確実に機能する必要があります。そのため、Manntechはケーブル及び接続技術において、10年以上にわたり、LAPP製品を独占的に使用してきました。品質は成果に繋がります。
Manntechは現在、次の大きなプロジェクト――世界2番目となる高さ632メートルの上海タワー用のファサード・アクセス・システムの準備を進めています。


お客様概要
Manntechはドイツ・バイエルンの町マンメンドルフを拠点としています。約200名の従業員を有し、ファサード・アクセス・システムの世界有数のメーカーです。ManntechはMannesmannグループから誕生し、1999年に独立しています。
※記事内容は執筆当時のものです