【事例紹介】パスタ製造システム用耐久性コネクタ

パスタ製造システムメーカーから、プラグイン式のケーブルの採用の要望がありました。しかし、従来のコネクタではこの用途には不十分でした。そこでLAPPはこのお客様のために、特殊銅合金製のコネクタを開発しました。

スーパーなどで販売されているパッケージ入りの乾燥パスタは、パッケージ中で長期保存させるために、十分に乾燥させる必要があります。パスタはデュラム小麦とグルテンに水を混ぜるところから製造工程が始まり、その後、パスタの形に成型されます。成型が終わると、高さ6メートル、幅20メートルの乾燥室に保存されます。細長い形のスパゲッティやタリアテッレはラックから吊るされます。ここでパスタは、100〜130℃の熱風を使い乾燥されます。乾燥の工程はパスタの品質に大きく影響する重要な工程です。乾燥室での時間が長いほど、ゆっくりじっくりと乾燥させることができます。これにより高品質を確保できますが、同時により高価格にもなります。多くの場合パスタは3時間ほど乾燥させます。

堅牢で低コストなLAPPソリューション

パスタ製造機械メーカーがサプライヤーを探していたところ、統合接続ソリューションのグローバル市場リーダーであるLAPPに出会いました。LAPPのエンジニアたちは、パスタ製造メーカーの工場に招かれ、乾燥に使用されるファンの新しい接続方法の提案を開発するため、同社の乾燥システムを実際に見学しました。同社は、乾燥室の湿った酸性の空気に耐えられるほど堅牢で、コストが高すぎない実用的なソリューションを求めていました。 そのため、十分な耐性がない標準ソリューションや、コストが高いステンレス製コネクタは選択肢から外れました。

LAPPは特殊な銅合金をソリューションとして提案しました。この特殊銅合金は、機械的な加工が比較的容易でありながら、必要な温度に耐えることができます。そのため、コネクタの価格は一般的な製品と比べてそれほど高くありません。またコネクタはパスタに直接接触しないため、FDAに認証された素材を使用する必要もありません。また、水や化学洗浄剤を使わずに、機械的に洗浄されます。

耐薬品性に優れた代替品としては、プラスチックも考えられます。しかし、コーティングがなければ、プラスチック製のコネクタハウジングは電磁波を遮断することができません。また、モーターの速度制御も要件の一つであったため、シールドケーブルが必要になることも課題でした。プラスチックの多くは、長年の使用で必要な密閉性を維持するための機械的安定性がありません。乳酸に対する長期的な耐薬品性、優れたEMC特性、機械的安定性のある銅合金は、理想的な代替品でした。標準品より若干コストが高めですが、ステンレス製の代替品に比べればはるかに安価です。 それに比べ、ステンレス製コネクタは標準品の3倍から5倍の値段になります。「お客様と共にコネクタシステムを開発し、1年間徹底的に試験を実施しました。食品製造では、あらゆる事態を想定して試験をすることが重要です」とLAPPのEPIC® 接続システム担当のプロダクトマネージャー Joachim Strobel氏は述べます。

衛生的なデザイン

粉塵の沈殿を防ぐため、EPIC®コネクタは衛生設計の原則に基づき、可能な限り凹凸がないように設計されています。ここでも、銅合金には多くの利点があります。コーティングがない状態でも表面が滑らかで、コーティングが剥がれて食品製造ラインに落ちることがありません。ステンレスは比較的粗いので、高度な加工を施さないと滑らかな表面にはなりません。

接続にはコネクタ以外にも様々な要素があるため、他の部分も考慮する必要があります。ケーブルもその一つです。ケーブルが細すぎたり、不適切な表面加工がされていたりすると、コネクタ開口部でケーブルが動いたり、経年変化により擦り切れたりする場合があります。コネクタ同様に、ケーブルもメカストレス、乳酸、熱に対する耐性が必要です。同社が採用したのは、標準製品よりも優れたシリコンケーブルでした。LAPPでは、植物や動物由来の油や潤滑油、180℃までの温度に耐えるシリコンケーブルを提供しています。LAPPでは、組立時の配線ミスを防ぐため、ケーブルやコネクタはあらかじめ組み立てておくことを推奨しています。LAPPは、コネクタ内部のシーリングにも一切妥協しません。幅広い用途で使用できる高級なシーリング材フッ素ゴム(FKM)を使用しています。

コネクタによって広がる可能性

同社は、製造システムの一つで1年間、特許取得済みのコネクタ形状を持つ、この新しいコネクタをテストしました。テストは順調にいき、技術的に承認が下りました。この新しいコネクタは、次世代の乾燥システムのファンに使用される予定です。

Joachim Strobel氏は次のように述べています。「このコネクタは、食品産業でより多くのアプリケーション、場合によってはステンレス製のバリエーションにも対応できる大きな可能性を秘めています。」 食品加工用機械のメーカーは、エンドユーザーがどのような洗浄剤を機械に使用するか分からない場合が多いと、Strobel氏は説明します。食品メーカー自身も把握していないことが多々あります。洗浄は外注されることが多く、外注先が使用する物質について必ずしも正確な情報を提供していないためです。しかし、今回の事例のように、お客様との共同作業によって、LAPPでは適切なソリューションを提供します。


※記事内容は執筆当時のものです

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