課題
ブラチスラバのスロバキア国民蜂起橋(SNP橋、英:Most SNP)は、スロバキア国民蜂起68周年の2012年8月まで「新橋」の名称で親しまれており、スロバキアの首都を訪れた観光客なら誰もが忘れられないランドマークでしょう。1972年にオープンしたので、実際はそれほど「新しく」はありません。
全長430メートルの斜張橋は、ドナウ川の片側の土手にあるパイロン2基によって支えられています。高さ95メートルのツインタワーにはスチールケーブルが固定されており、タワーは後方そして内側に傾斜しています。上部には展望台とレストランがあり、エレベーターは1日に最大1,000回昇降します。LAPPの課題は、巨大な斜張橋を支えるパイロン2基のうち1基にある給電ケーブルも含め、エレベーターを交換することでした。


ソリューション
パイロンは、7,537トンもある橋のスチールケーブルの負荷に耐えるために、内側に7度、後方に17 度傾斜しています。エレベーターは、その側面をレールで上っていきます。この難題に対するLAPPが提供したソリューションは、エレベーターに傾斜したパイロンのケーブルをしっかりとガイドする約50メートルのケーブルキャリアです。
これには、壁から遠ざける役割もありました。古い橋には欠陥があることは明らかで、単純に交換することは不可能でした。エレベーターへ電力を供給する新しいケーブルキャリアにより、新しいエレベータでは最上階まで45秒で到達し、さらに1回で10人の人が何の問題もなく乗ることができます。
使用製品
LAPPのエンジニアは、すべて組立済みのSILVYN® CHAINスチール製ケーブルキャリア 特別版を使用して、問題を解決しました。
SILVYN® CHAINの長さは48.36メートルで、スチール製ケージ内にあり、それによりタワー内のケーブルキャリアをタワー内の正しい傾斜でガイドし、また壁との接触を防ぎます。さらに、この設計により、高さ約100メートルの鉄塔の熱膨張が相殺されます。以前故障の原因となっていた高温によるエレベーターへの影響は今ではなくなりました。
高速に耐えられるのは、高柔軟性ケーブルだけです。ケーブルキャリアには、LAPPのOLFLEX® FD 855 P(50メートル x 2)及びUNITRONIC® FD CP TP plus(50メートル x 2)ケーブルが装備されています。このケーブルは、高可動アプリケーション及び小曲げ半径向けに特別に設計されています。


OLFLEX® FD 855 P
高柔軟性ハロゲンフリー可動ケーブル
厳しい条件でのケーブルキャリアでの使用可能。UL/cUL AWM認証ありで、大幅な高速化・加速が可能で、機械の可動部・工作機械・組立ライン・生産ラインなども使用できます。


UNITRONIC® FD CP TP plus
高柔軟性シールドデータ通信ケーブル
UL/AWMで、ハロゲンフリー。ケーブルキャリアでの使用が可能で、またリニアロボット。自動処理装置などの用途にも適しています。幅広い温度範囲で過酷な気候環境での用途に対応します。
成果
本事例のようなソリューションは、LAPPの得意分野です。2015年から、LAPPでは、ケーブル及びコンジットをケーブルキャリアへ統合した「OLFLEX® CONNECT CHAIN」を提供しています。LAPPは、1980年代から、こうした種類のソリューションで実績を上げてきました。ブラチスラバの新橋は、数多くの成功したプロジェクトの一例にすぎません。
※記事内容は執筆当時のものです