ファクトリーオートメーション(FA)産業用イーサネット
産業用で使用されるイーサネットにおいて、イーサネットとフィールドバスの違いや、イーサネットの動作原理、MACアドレス、ネットワークコンポーネント(HUB、スイッチ、ルーター)について紹介しています。
イーサネットの機能:イーサネットとフィールドバスの比較
フィールドバスに対してイーサネット固有の特性は次の通りです。
- ポイント・ツー・ポイント接続のみのため、終端抵抗が不要
- コンポーネント用に、非常に大きなアドレス空間を保持
(約2,810億の個別MACアドレス) - 各コンポーネント(スイッチやルーターなど)が信号を更新するため、ネットワーク内で長距離が可能
- 高速通信速度により、大容量のデータを高速に伝送可能
(例: PROFIBUSの12 Mbit/sと比較して 10 Gbit/s)
動作原理
フィールバスで使用されるマスタースレーブ方式とは異なり、イーサネットのコンポーネントはすべて同等です。これが、メッセージが交換される時にネットワークで衝突が発生する理由です。
各デバイスは、別のデバイスがメッセージを送信しているか検出し、状況に応じて待機します。しかし、2台のデバイスが同時送信した場合、衝突を検出し、送信プロセスを停止します。ランダムな待機期間中に伝送路内が空いているかを確認後、メッセージの送信を再試行します。
IEEE規格によると、イーサネット通信はランダムであるため、時間確定性はありません。そのため、産業での使用方法に影響します。
イーサネットにおけるメッセージの衝突
異なるランダムな待機時間により、衝突が新たに発生するのを回避します。
MACアドレスとは
全てのデバイスのネットワークカードやネットワーク接続には、ユーザーが変更できない一意のMACアドレスがあります。
MACとは、メディアアクセス制御(Media Access Control)の事で、MACアドレスとは、製品IDとネットワークカード番号で構成されます。例えば、MAC アドレスが[7C:F9:5C:A8:18:83]である場合、「7C:F9:5C」は 製品ID、[A8:18:83]は特定のデバイスが持つコードとなります。
各送信元、受信先のMACアドレスは、すべてのイーサネットメッセージに含まれているため、受信先は、メッセージが自分宛てか、また宛先 / 返信先を識別できます。
また、MACアドレスは一つとして同じアドレスが存在する事はありません。
ネットワークコンポーネント
ローカルイーサネットネットワークでは、HUBとスイッチを使用してコンポーネントを相互接続します。各ネットワークコンポーネントでは、接続されているポート数が異なります。次の図では、HUBとスイッチのネットワークが示されています。
【HUBの場合】
「知能」はなく、1つのポートで受信したメッセージをすべて、他のすべてのポートに配信します。受け取り手は自分のデータでなければ廃棄します。
【スイッチの場合】
接続されているコンポーネントのMACアドレスを記憶し、イーサネットメッセージから宛先が接続されているポートを識別できます。スイッチは、メッセージを宛先のポートのみに送信します。そのため、スイッチに接続されているコンポーネントが多数ある場合は、同時に多くの接続が使用可能です。
つまり、スイッチでは、ハブとは違い、必要のない送信や衝突を回避できます。
マネージドスイッチには、追加の機能で設定が可能です。例えば、個々のポートを非アクティブ化したり、特定のポートのみを相互接続したりする事が可能です。(いわゆるVLAN)
インターネットプロトコル(IP)とルーター
ローカルネットワーク通信では、MACアドレスで十分です。MACアドレスは、コンポーネントの情報を提供しますが、属するネットワーク情報はありません。ネットワーク情報は、IPアドレスによって提供され、それによりローカルネットワークへのコンポーネントの関連付けが可能になります。
メッセージの宛先がローカルネットワークの一部でない場合、送信元はIPアドレスを使用してローカルネットワークからメッセージを送信します。メッセージがローカルネットワークから外へ送信される際には、ルーターと呼ばれるデバイスが使用されます。
ルーターは、ローカルネットワークから出ていくメッセージを受信し、宛先のアドレスを読み取って、宛先のネットワークにメッセージを転送します。
現在、インターネットプロトコル(IP)には、2つの標準があります。IPv4とその後継IPv6です。プロトコルの各バージョンには、独自のアドレス形式があります(図を参照)。
[IPv4]
IPV4アドレスは、
- 数字の間にピリオドが付いた4つの10進数(0〜255)で表示
- 最大232通りのアドレス(43億)を保有
- 通信速度が低下する事がある
[IPv6]
IPv6アドレスは、
- コロンで区切られた8つのブロックに分割
- 各ブロックには0〜65535の番号を含む
- 16進形式(0-9,A-F)で表示
- 最大2128個のアドレス(約340澗= 3.4 x 1038)を保有
IPx6が誕生した背景には、アドレス需要の急増があります。世界で最後のIPv4アドレスは、2012年に割り当てられました。2020年までに500億台のデバイスがインターネットに直接接続されると予想されています。
ここでは、ファクトリーオートメーション(FA)におけるイーサネットについて紹介しました。
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