フィールドバス (FIELDBUS)
フィールドバスとは、工場等のライン・測定・計測・制御等の情報のやり取りのために、センサ・アクチュエータ・その他制御機器等をPLC(プログラマブルロジックコントロール)に接続するバスシステムです。
すべてのセンサ・アクチュエータ・その他制御機器等が干渉なく情報をやり取りできるように、各メーカーが独自のフィールドバス用通信プロトコルを設計しています。フィールドバスは、いわゆるマスタースレーブ(主従システム)に基づいているものがほとんどです。
フィールドバスのアドバンテージ
- 省配線化: ケーブル配線の削減、コンパクトな盤設計
- 障害発生時のトラブル対応の削減
- デジタル/バイナリ及びアナログ信号用の1本のケーブルで
- アナログ値との干渉に対する保護
- 各機器類の自己診断
- 拡張のしやすさ、センサ/アクチュエータの追加など
フィールドバス 標準プロトコル
アプリケーション環境やご使用機器のネットワークにより、バスシステムはそれぞれ異なるため、LAPPでは幅広いプロトコルに対応したフィールドバス製品を展開しています。
以下では、主要な標準プロトコルについて説明します。
シンプルなS/Aケーブル(センサとアクチュエータを相互接続する)又は、Profibus-DPのようなフィールドバス(分散型デバイスと制御デバイス間のネットワークを確立する)を検討します。
LAPPでは、以下に記載されているバスシステム用ケーブルを提供しています。また光ファイバーケーブルも提供してします。お気軽にご相談ください。
センサ/アクチュエータケーブル
従来のセンサ及びアクチュエータを上位ネットワークに接続する必要がある場合、LAPPのS/Aケーブル、またM12コネクタ、分散ボックス等がご利用いただけます。こうした用途向けに、LAPP UNITRONIC®シリーズ製品はすべて、「SENSOR」とマークされているため、識別も簡単です。
AS-i
AS-i (Actuator Sensor Interface)とは、世界で唯一標準化された下位プロセスレベル向けフィールドバスシステムです。
AS-iは、ポート1つと2芯ケーブル1本だけのシンプルな接続システムですが、コントローラレベルで31のセンサ及びアクチュエータ/AS-iモジュールをネットワークとして接続できます。AS-iケーブルは、データ交換だけでなく、スレーブに電力を供給する役目も負います。
また、100mのケーブル長で、5ms以上のサイクリック転送速度を実現できます。AS-iは特定のメーカーに依存しない「オープン」な産業標準であり、産業オートメーションにおいて効率的で高速なケーブル接続を実現することで、コスト削減にもつながります。
AS International Association e.V. (AS国際協会)は、AS-i標準プロトコルの拡張及び標準化を促進しています。LAPPはAS国際協会の一員であり、標準のさらなる発展に積極的に関わっています。
AS-i標準に準拠したケーブル及びアクセサリ
LAPP UNITRONIC®シリーズで、AS-iに準拠したケーブルには、「ASI」のマークがされており、AS-iアプリケーション適合製品が一目でわかります。
より複雑なネットワークケーブル
PROFIBUS
PROFIBUS®(Process Field Bus)とは、フィールドバス通信の標準プロトコルであり、今日では業界をリードするフィールドバスの一つです。
PROFINET®は、下位フィールドレベル(分散型デバイス、スレーブ)及び上位コントローラユニット(セントラルマスター)上のデバイス間でサイクリックにデータ転送できます。現在、PROFIBUS®は、製造技術、またプロセス技術及びエンジニアリングで使用される主要な通信プロトコルとなっています。マスタースレーブシステムでは、ツイストペアケーブルと光ファイバーケーブルの両方を使うことが可能です。
より高速な通信速度が必要な場合は、後継規格のEthernet機能付きのPROFINET® を使用できます。
Lappは、PROFIBUS Nutzerorganisation e.V. (PNO:ドイツの製造業者とユーザーで構成される団体)の一員であり、PROFIBUS®のさらなる開発に積極的に関わっています。
PROFIBUS®は、以下の2種類が主に使用されます。
PROFIBUS® DP
製造技術におけるフィールドバス通信では、シングルマスター又はマルチマスター(複数のマスターがバスに接続される)方式が採用可能です。マスターは、サイクリック間隔でスレーブから入力情報を問い合わせし、出力情報を返します。
PROFIBUS® DPの通信プロトコルとしては、以下3バージョンが利用可能です:
- サイクリック通信用のDP-V0
- サイクリックとメッセージ通信用のDP-V1
- モーションを加えスレーブ同士間通信用のDP-V2
PROFIBUS® DPは、12 Mbit/sの通信速度があり、1つのネットワーク内で最大125の端末(マスター及びスレーブ)を組み合わせることができます。
PROFIBUS® PA
PROFIBUS® PAは、プロセスオートメーションアプリケーション向けの通信に使用されます。
電力に制限があるため、PROFIBUS® PAは爆発の危険性がある環境での使用にも最適です。転送速度は31.25 kbit/sなので、長いケーブル経路が可能で、EMC対策も万全です。
LAPPのUNITRONIC®シリーズ(ケーブル用)及びEPIC Data(コネクタ用)シリーズのPROFIBUS®準拠製品には、PROFIBUS DPの「BUS DP」、PROFIBUS PAの「BUS PA」の名称がつけられています。
PROFIBUS® DP規格に準拠したケーブル及びアクセサリ
PROFIBUS® PA規格に準拠したケーブル及びアクセサリ
CANopen
CANopen規格とは、もともと自動車産業向けに開発されたCAN (Controller Area Network)フィールドバスシステムシステムを採用し、通信プロファイルを含むように拡張したものです。
CANopenは、オートメーション技術だけでなく、主にヨーロッパで医療、鉄道などその他多くの産業でも使用されるオープンな標準プロトコルになりました。
シリアルCANシステムでは、データはテレグラム(電報)という形でサイクリック及びイベント稼働型ベースの両方で送受信され、やり取りはOSI参照モデルの最初の2層(第1層:物理層、第2層:データリンク層)で管理されます。ネットワーク内の対等な関係にあるデバイスは、40mのケーブル長で最大1 Mbit/sの安定した速度で、データを個別にバスへ転送します。この過程でデータはリアルタイムで送受信されます。
上位レベルのCANopenシステムでは、通信プロファイルを提供するため、アプリケーション層が統合されています。プロファイルは標準インターフェースにより、ネットワークのデバイス及びデバイスクラスのアプリケーションプロファイルを個別に指定できます。こうして、通信プロファイルは、どのテレグラムを使用して、どのデバイスのデータを転送するかを制御します。
CANopenはCiA(CAN in Automation)によって管理されています。
CANopen規格に準拠したケーブル
LAPPのUNITRONIC®シリーズで、CANopen準拠部品には、「BUS CAN」(ライン 及びパッチケーブル用)、「CAN」(コネクタ用)のマークがされており、CANopenアプリケーション適合製品が一目でわかります。
CC-Link
日本を始め、アジア各国では、CC-Linkは主要なオープンネットワークであり、コントローラ及び製造レベル間でのデータ転送に使用されます。
CC-Linkには様々なバージョンが提供されています。標準バージョンは、100mのケーブル長で最大10 Mbit/sのデータ転送速度、さらにネットワーク内で最大64台のデバイスをリアルタイム通信できるフィールドバスシステムです。ネットワークの速度が遅ければ、転送距離は最大1200mまで延長可能です。つまり、CC -Linkは、大規模アプリケーションにも適しています。オートメーション技術では多くの場合、このCC-Link規格のシンプルな構造で十分です。また様々なメーカーのCC-Link準拠製品が簡単に実装できるため、CC-Linkはヨーロッパでも普及しつつあります。
こちらのCC-Link IEにて、EthernetベースのCC-Linkバージョンについて詳細をご覧いただけます。
CC-LinkはCLPA (CC-Link Partner Association:CC-Link協会)により標準化されています。
LAPPはCLPAの一員であり、CC-Linkのさらなる発展に向けて積極的に取り組んでいます。