ケーブルの定格電圧

定格電圧(Rated Voltage)とは、電気機器を安全に使用するための最大電圧のことです。定格電圧を超えて機器を使用した際の安全性は保証されません。

定格電圧 U0/U とは 

欧州の電力供給システムから U0/U としています。定義としては、以下の通りです。

U0/U = 対地電圧(V) / 線間電圧(V)

対地電圧(U0)とは
電線と接地点または接地側電線との間の電圧

線間電圧(U)とは
電線と電線の間にかかる電圧

例)LAPP ケーブルの場合を見てみましょう。
ÖLFLEX® CLASSIC 100 300/500V の場合、U0/U=300V/500V です。

 ÖLFLEX® CLASSIC 100 300/500Vパワーコントロールケーブル ÖLFLEX® CLASSIC 100 300/500Vパワーコントロールケーブル

多くの動力・コントロールケーブルのスター結線をベースにした定格電圧表記は
 U0/U=300/500V、450/750V、0.6/1kV
となります。

三相交流の電流と電圧

 

定格電圧表記はなぜ U0(対地電圧)=300V、U(線間電圧)=500V となるのでしょうか?

スター結線での線間電圧と相電圧の関係を説明します。

下図のように、相電圧 Vr、Vs、Vt はそれぞれのなす角が 120°です。
また、線間電圧と相電圧の関係は

Vrs = Vr – Vs
Vst = Vs – Vt
Vtr = Vt – Vs

です。 例として Vrs をベクトルで表し、三平方の定理から導くと

Vrs = Vr + (- Vs) = √3Vr

同様に、Vst = √3Vs、 Vtr = √3Vt となります。
よって、相電圧(=対地電圧) 300(V) に √3 を乗じることで
線間電圧 ≒ 500(V) となり、

U0/U = 300/500V

となります。

「スター結線」以外の結線方法として「デルタ結線」もあります。
こちらはスター結線と似ていますが、スター結線は線電流=相電流でしたが、デルタ
結線では線間電圧=相電圧となります。
こちらは線電流=√3 x 相電流 となり、
Ir = √3Itr、 Is = √3Irs、 It = √3Ist

低圧の配電方式の種類

実際は、現場では様々な配電方式が混在しています。
ここでは、代表的な配電方式のパターンと U0/U の関係を説明します。

① 単相 2 線式(1φ2W) U0/U=100/100V

単相交流電力の電圧が掛かっている非接地側電線 1 本と電圧の掛かっていない接地側電線 1 本、計 2 本の電線を用いて供給する低圧配電方式

② 単相 3 線式(1φ3W) U0/U=100/100V

単相交流電力を 3 本の電線を用いて供給する低圧配電方式

③ 三相 3 線式(3φ3W) 

三相交流電力を 3 本の電線を用いて供給する配電方式

(1)スター結線 U0/U=115/200V

(2)デルタ結線 U0/U=200/200V

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