ロボットソリューション


昨今のロボットは小型化しただけでなく、可動性が格段に向上し、多用途性を誇っています。
ロボット内のスペースがますます狭くなり、機械的負荷が大きくなるにつれて、エネルギー供給とデータ供給にも新しいアプローチが必要になっています。LAPPでは、標準品ばかりではなく、最適な曲げ半径と、機械的な影響に適した素材を使用して、お客様ごとに適切なケーブルを開発しています。
[目次]
1. ロボットケーブルとは
2. 可動ケーブル VS ロボットケーブル
3. LAPPロボットケーブルシールド
4. LAPP製品レンジ
5. カスタムケーブルソリューション
6. 事例紹介
ロボットケーブルとは
ロボットケーブルとは、ロボットへの配線用電線・ケーブルです。ロボットの小型化や可動性能の向上に追従し、ケーブルには、高柔軟性、捻転性、堅牢性、断線が起こりにくい信頼性が必要不可欠になります。
可動ケーブル VS ロボットケーブル
LAPPでは、ケーブルキャリアの平行移動で使用する可動ケーブルと、ロボット動作に必要な、極度の捻転動作に対応したケーブルとは、別な製品レンジになります。
LAPPロボットケーブルシールド
LAPPのロボットケーブルのシールドバージョンは、通常の編組シールドではなく、スパイラルシールドを搭載しています。捻転動作に伴って、劣化する測定値をシールドの伝達インピーダンスで比べると、銅編組シールドに比べ、安定した抵抗値で捻転動作をこなす構造になっています。スパイラルシールドのみではなく、シールド(金属)の擦れから起こる絶縁体の摩耗をフッ素系テープで保護することにより、捻転動作をさらに向上します。
LAPP製品レンジ
LAPPで展開している8つのブランドにおいて、ロボットアプリケーション各所で提案が可能です。
ロボットケーブル
OLFLEX® ROBOT 900 P/DP


捻転動作に対応するロボットケーブル
最大±360°/mの捻転動作も可能な可動ロボットケーブル。小外径なため省スペース設置も簡単です。摩耗耐性および耐油性、また様々な化学物質にも耐性があります。
OLFLEX® ROBOT F1 (C)


UL AWM認証シールド付ロボットケーブル
最大±180°/mの捻転動作や可動動作に対応。磨耗および裂傷耐性、難燃性、高耐油性があり、低温でも柔軟性を発揮します。ポリウレタン(PUR)ベースです。
データ・計装・光ファイバーケーブル
UNITRONIC® BUS PB TORSION


ねじり用途向けの可動用PROFIBUSケーブル
難燃性かつハロゲンフリーで、ULタイプCMX、UL 444に準拠しています。PROFIBUS-DP、PROFIBUSFMSおよびFIPで使用可能。捻り応力用、ロボット用途などに対応。
ETHERLINE® TORSION Cat 6a


連続可動用イーサネットケーブル
固定・可動使用、またねじりのある環境や特殊アプリケーションで利用可能。PURバージョンはハロゲンフリーで、IEC 60754に準拠。耐油性はIEC 60811-2-1に準拠。高いねじりストレスにも対応。
コネクタ・ケーブルグランド・コンジット
EPIC® POWER LS1


EMC最適化丸形コネクタ
省スペースで高電力、電気モーターなどに適しています。プラントエンジニアリングやサーボドライブ・サーボアセンブリなどに使用可能。
SKINTOP® BRUSH


EMC対策ケーブルグランド
世界初特許360℃のシールドブラシを取付けるだけでEMC対策が可能。プラスチック製、メタル製、防爆、ハロゲンフリーバージョンなど。
カスタムケーブルソリューション
様々なアプリケーションによっては、標準品のみでカバーしきれない場合もあります。カスタムケーブルソリューションでは、お客様の期待に応えるケーブル制作の検討が可能です。
カスタムケーブルは、標準ケーブルよりもコストがかかるという認識がありますが、お客様が望むすべての要件を満たし、長期的には、実際にコストを削減できることを考慮し提案を心がけています。
LAPPでは、お客様に応じたカスタムケーブルに対応しています。
- ロボットハンドの複合ケーブル
- ケーブル性能の向上
- 耐環境型ケーブル
- 狭い場所や取り回しの困難な場所でも設置しやすいケーブル
- より柔軟なケーブル
- シースの色カスタム、ケーブル印刷カスタム
- 安定したサプライチェーン
- ノイズとクロストーク問題の低減
- 過酷な環境条件下での信頼性の向上
など
LAPPでは、ニーズをヒアリング、すべての要件にアクセスできる様、検討可能です。
カスタム・ケーブルを設計する際、考慮すべき属性は数多くあります。
一例:
- 導体材料
- 絶縁体
- 充填材
- シールドタイプ
- シールド材料
- シース材質、色
- 外径
など
事例紹介
ここでは、いくつかの事例を紹介いたします。
①ウェルディングロボット
[車のボディ溶接ライン]
●課題:省スペース化、ダウンタイムの安全回避
●ソリューション:
動力ケーブル・信号・データケーブル・エアホースや保護管路を複合したハイブリッドケーブル
●ポイント:
→信号ケーブルとデータケーブルは、スパイラルシールドやスリップテープを搭載し、溶接電源ケーブルからのノイズ除去設計を施した。
→曲げ半径とねじれ角は車両製造用途に適合している。
→200万から300万サイクルという耐用年数
→現在ダウンタイムの回避に貢献
車体のボルトを溶接する際、常にスペース不足による要求に直面します。そのため、ロボットはできるだけスペースを取らないように設計する必要があります。この点で、ケーブル配線は重要な役割を果たします。
本ケーブルは、溶接用電源線と信号・データケーブルがエアホースや保護管路と一緒に配線されたハイブリッドケーブルです。信号ケーブルとデータケーブルは、一貫してノイズを排除するために、シールドを施します。また、ハイブリッドケーブルは、本アプリケーションロボット動作に適応する必要があります。そのため、曲げ半径とねじれ角を満足するスペックに設計しました。200万から300万サイクルという耐用年数という要求にも応じ、ダウンタイムを安全に回避するソリューションを提案しました。
②塗装ラインロボット
[車体塗装ライン]
●課題:広範囲の捻転、狭所での曲げ半径
●ソリューション:
動力ケーブル・データケーブル複合した高柔軟性ハイブリッドケーブル
●ポイント:
→360°/mの捻転動作に対応するデザイン
→最小曲げ半径
→細かな動きに対応した介在材質を採用
→400万から500万サイクルという耐久性
→機械的な負荷にも対応可能な特殊PURベースシース材
塗装ロボットの現場の雰囲気は、快適とは言い難く、ロボットケーブルの開発者にとって特別な課題です。
そして、ケーブルは非常に狭い曲げ半径に耐える必要があるだけでなく、1メートルあたり360度を超える非常に大きなねじり運動、また、流れるような動きの中で塗料を均一に塗る必要があります。
サーボケーブルの耐久性も極限まで高められており、最低でも400万から500万サイクルの耐久性を要求されています。本ケーブルは動力とシールドされたデータペアから構成されています。
③ハンドリングロボット
[ハンドリングロボット]
●課題:最大1000°/mの捻回(6軸センサー:ロボット~センサー)
●ソリューション:
6軸センサー信号用広範囲捻回対応ケーブル
●ポイント:
→1000°/mの捻転動作に対応するデザイン
→内部材質の特殊コーティング材
→機械的な負荷にも対応可能な特殊PURベースシース材
極限状況用の特殊ケーブルとしてここで挙げるコーダーケーブルは、6軸すべてを使用するロボットからセンサー信号を伝送するために使用されます。
これはケーブルが回転両方向で1メートルあたり約1000°のねじれ運動に耐える要求仕様の元実現したケーブルです。ケーブルは広範囲、また強いねじり運動に確実に対応する特殊なコーティング材を取り込み、要求仕様を満足することが出来ました。