【2021年最新版】NFPA79 ケーブル仕様と配線


米国では産業機械や機器での感電や火災を取り除く事を目的とし、多種多様な機械の内部で使用されている電子機器に適用される規格があります。それはNFPA79です。ここではNFPA79について説明いたします。
[目次]
6.UL取得製品
NFPA79とは?
NFPA 79とは、米国の産業機械用電気安全規格であり、NFPA70/NEC (米国電気工事規程)の第670条にて参照されています。NFPA79は特に、産業機械や機器での感電や火災を取り除く事を目的とし、多種多様な機械の内部で使用されている電子機器に適用されます。1000V以下の公称電圧で作動する機械の電気・電子部品すべてに適用されます。
NFPA79では、全体的な安全性に引き続き焦点を当て、更に欧州の対応規格であるIEC 60204-1との互換を推進しています。こうした変化には主に、機械メーカーが自社製品の国内及び国際基準での安全性への準拠を保証しなければならないというグローバルな要求が背景にあります。
[対象範囲]:
産業機械の電気 / 電子機器 / 部品、装置、又はシステムなど、電力供給の接続点から機械の電気機器
例)
工作機械、射出成型機、木工機械、組立機械、材料管理用設備機械、検査及び試験用、ドラッグチェーン など
NFPA79準拠の機械はIEC 60204-1準拠とみなされるが、IEC / EN / VDEのみに準拠の機械は NFPA 79準拠とはみなされません。
例)NFPA79ではモータ回路の導体は、モータの全負荷電流定格の125%以上の電流容量を有する必要があります。(NFPA79 Chapter 12参照)。
ケーブル選定の重要性
北米市場でのケーブル選定はとても重要です。最適なケーブル選定は、産業機械や機器の据付において見過ごされやすい要素です。それは機械、機器、及び電気設備資材(コンジット、ケーブルトレイ、レースウェイ等)の費用算出、人件費などが大きく目立ち、設計や据付工事でケーブル選定が見過ごされやすくなるケースです。海外展開している機械・電気設備は、納入する国によって規格/規制が異なります。そういった機械・電気設備に付属するケーブルを選定することも、より複雑になっています。納入先に合致した仕様のケーブルを正しく選定しない場合、AHJ(Authority Having Jurisdiction) など検査機関から不適合と判断されます。
その結果、
- 新たな適正ケーブルの購入
- 現地での張り替え
- 工期の延長
- UL再認証監査
- 安全性試験施設による個別の認証
などを要求されることがあります。
こうした問題に対処するため、ULなどの安全性試験機関は機械メーカー等との間で製品を確認し、コンプライアンスの認証を行っています。AHJ又はエンドユーザーは法的に身を守るため、NRTLの追加認証マークを要求する場合があります。
NFPA79附属書Bにチェックシートがあります。使用する部品が適合しているか事前に確認することが出来ます。
AWMケーブルの使用制限の変化
過去NFPA79では度々AWM(Appliance Wiring Material)の位置付けが変わってきました。
[NFPA79 2007年版]
AWM → 使用禁止
従来、機内配線用電線として利用されてきた電線・ケーブルAWM(Appliance Wiring Material)でしたが、高性能のケーブル(例えばポリウレタン、高可動用サーボケーブルなど)を必要とするアプリケーションでは、リステッドケーブルはなかなか手に入らないため、AWMを使用しなければならず「グレーゾーン(Gray Area)」を作り出してしまったのです。
[NFPA79 2012年版]
AWM → 使用可(条件付き)
NFPA79 2012年版では、12.9項が追加されAWMが条件付きで使用可能になりました。
(AWMは12.9 項を満たす必要があります。)
[NFPA79 2018年版]
AWM → 使用可(条件付き)
NFPA79 2018年版でもAWM は継続して使用可能(12.9項)ですが、使用制限もある為、全体の機械・機器・設備でもすべてリステッドケーブルを使用する傾向になっていました。
[NFPA79 2021年版]
AWM → 使用可(条件付き)
NFPA79 2021年版でもAWM は継続して使用可能(12.9項)です。
NFPA79 2021年版 主なポイント
ここではNFPA79のケーブル・配線に関する主なポイントを説明します。
(1)NFPA79 [第1章 - 管理]
NFPA79 第1章では、前提としてNFPA79 に記載のない項目に関してはNFPA70/NECを参照する必要があることを述べています。
【NFPA79抜粋】
(2)NFPA79 [第4章 - 一般的要求事項と動作条件]
2021年版のNFPA79 4.4.2.8では、可変速駆動電機システム(VFD)およびサーボシステムに使用される電源供給回路用のケーブル要件について改訂がありました。
2021年版のNFPA79 4.4.2.8では、
- AWMを禁止しておらず、12.9.2のいずれかの規定を満たせばAWMも一般的に認められています。
- 12.3.1項でいう熱硬化性ケーブル(RHH, RHW, RHW-2, XHH, XHHW, XHHW-2)も引き続き使用することは可能です。
背景として、2018年版では特定の絶縁体(RHH, RHW, RHW-2, XHH, XHHW, XHHW-2)のみが可変速度駆動電機システム(VFD) およびサーボシステムで使用できるといった誤解を生み、混乱状態となったため、上記のように変更がありました。
2018年版 記載内容
- 絶縁体種類(リステッドケーブル)⇒ RHH, RHW, RHW-2, XHH, XHHW, XHHW-2
もしくは
- 機器メーカーの指示に従い選択されたケーブル⇒ VFD及びサーボケーブル(AWM)


2021年版 記載内容
- 絶縁体種類(リステッドケーブル)⇒ 項目削除
- 機器メーカーの指示に従い選択されたケーブル⇒ VFD及びサーボケーブル(AWM))
【NFPA79抜粋】
2021年版では次の部分が変更されます。
- フレキシブルモーター電源ケーブルマークタイプ(RHH, RHW, RHW-2, XHH, XHHW, XHHW-2)の項目削除
- 以下に準拠するケーブルの選択が可能
- 機器メーカーの推奨・指示
- 第12章-導体、ケーブル、フレキシブルコード
NFPA79 [第12章 – 導体、ケーブル、フレキシブルコード]
【絶縁体の定義(NFPA79 12.3)】
ULでは絶縁体の種類を定義しており、NFPA79 4.4.2.8でいう絶縁体はNFPA79 12.3で説明されています。絶縁体とは、電気あるいは熱を通しにくい性質を持つ物質です。
【12.3項 絶縁体の種類と温度制限】
種類 | 説明 | 温度制限 (℃) | |
Wet | Dry | ||
MTW | Machine Tool Wire | 60 | 90 |
THHN | Thermoplastic High Heat-resistant Nylon-coated | 90 | |
THW | Thermoplastic Heat and Water resistant insulated wire | 75 | 75 |
THWN | Thermoplastic Heat and Water resistant Nylon coated wire | 75 | 75 |
RHH | Rubber High Heat-resistant | 90 | |
RHW | Rubber Heat-/Water- resistant | 75 | 75 |
RHW-2 | Rubber Heat-/Water- resistant -2 | 90 | 90 |
XHHW | Cross-Linked High Heat Water resistant insulated wire | 75 | 90 |
XHHW-2 | Cross-Linked High Heat Water resistant insulated wire -2 | 90 | 90 |
MTW
冷凍機器、自動洗濯機、空調機器、工作機械の制御配線、その他のさまざまな建築用途を含む機器の内部配線に使用されます。
耐湿性、耐熱性、耐油性、熱可塑性の特徴があります。
THHN
一般的な建築用ワイヤーとして使用されます。工作機械、制御回路、および一部の機器でも使用されています。
耐熱性、熱可塑性の特徴があります。
THW
ダクト内配線や屋内配線用ケーブルです。
耐湿性、耐熱性、熱可塑性の特徴があります。
THWN
住宅、商業、および工業用施設における一般用途の配線、照明、および電力用のコンジットおよびケーブルトレイの使用に適しています。
耐湿性、耐熱性、熱可塑性の特徴があります。
RHH
照明、電源システム、および一般的な配線アプリケーションで使用できます。
熱硬化性の特徴があります。
RHW
照明、電源システム、および一般的な配線アプリケーションで使用できます。
耐湿性、熱硬化性の特徴があります。
RHW -2
RHWと同じ品質を備え、照明、電源システム、および一般的な配線アプリケーションで使用できます。
耐湿性、熱硬化性の特徴があります。。
XHHW
主な用途は住宅、商業、工業用施設ですが、レースウェイ、フィーダー、回路配線にも使用されています。
耐湿性、熱硬化性の特徴があります。
XHHW -2
次世代型のXHHWです。
耐湿性、熱硬化性の特徴があります。
[12.9項 AWMの使用制限]
使用目的に適している場合、AWM(機器内配線用電線)は産業用プラットフォーム(機器・装置)内で使用することができる「ケーブル・電線」です。
- TC-ER、PLTC-ER、ITC-ER、CMG 等の他のULリステッドケーブルも、AWMが取得されている場合は機器・装置内で使用することができます。
- 機器内配線用電線(AWM)は、メーカー指示に従いULリステッド認証のある機器・装置内で使用することが出来ます。
【NFPA79 2018年版から追加された12.9】
(4)NFPA79 [第13章 - 配線方法]
[絶縁体識別]
NFPA79では絶縁体を識別するためのカラーコードが規定されています。
下記にいくつかの例を示します。(NFPA79 13.2参照)
- 緑または、緑/黄: EGC (Equipment Grounding Conductor) -アース線。(緑/黄≒7:3)
- 黒: アース以外の電源・動力回路、制御用回路など
- 赤: アース以外の交流制御回路など
- 青: アース以外の直流制御回路など
- オレンジ: 外部からの電源供給回路
- 白: アース用回路、中性線など
- 白に青のストライプ: DC制御回路のアースなど
・ 白にオレンジのストライプ: 外部から電源供給される機器のアースなど
[グレーゾーンの解決策]
NFPA 79には配線において重要な箇所があります。
機械・装置周りに配線する際に求められる規格について説明します。
13.1.6.1項
「機器またはシステムの構造に沿って、または機械装置内部に設置された露出したケーブルは許可されるものとし、機械の表面および構造部材に密接に沿うように設置されなければならない」
露出ケーブル -ER(エクスポーズドラン)を使用することのメリット
・コンジット又はケーブルレール不要
・特別な支持金具や固定ブラケット不要(※)
・時間や労力を削減
・大幅なコスト削減
※トレイから装置・機器間の配線に、物理的な障害がない場合
・6ft(1.8m)以内の場合は、保護・固定なしで配線可
・6ft(1.8m)以上の場合は、6ft(1.8m)以内の間隔で固定が必要
NFPA70/NEC 336条に準拠していれば、【-ER】を付与したトレイケーブル(TC)はケーブルトレイから関連機器までの距離を自由な経路で延長が可能という利点があります。
【TCケーブルとTC-ERケーブルの配線例】
NFPA70/NECとNFPA79の関連性
NFPA79で定義されていない配線に関しては、NFPA79 第1章で述べているように、機械メーカーや設置業者はNFPA70/NEC 670条への準拠が求められます。同様にNFPA70/NEC 670条では、NFPA79の準拠を認めています。
例)通信アプリケーションの場合
UL Type CMGはNFPA70/NEC Article 800で認められているケーブルタイプですが、産業用プラットフォーム(機械・装置)上で使用する場合はNFPA79規格に準拠している必要があります。
なお、すべての ULリステッドケーブルがNFPA79の要件を満たしているわけではありません。特に低価格電線・ケーブルや固定使用のケーブルは要件を満たしていない可能性があるので、注意が必要です。
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(1)NFPA 79 に明確な定義がなく、詳細説明が必要な項目は、NFPA 70(NEC)を参照しています。
(2)NFPA 336 条では、UL リステッド TC-ER(トレイケーブル)を定義しており、産業プラットフォームに加え、産業インフラストラクチャにおけるケーブルトレイ内への設置を許可しています。
例: ÖLFLEX® Tray II、Control TM、VFD Slim、VFD 2XL、Servo 7TCE など
(2)NFPA 79 2018: 第 4 章 – 新たな追加要件について
NFPA 79 2018 年版からの抜粋
【ポイント】
この抜粋は一見、NFPA79 12.3.1項でいう熱硬化性ケーブルの使用が義務付けられているように見えますが、特に「機器メーカーの指示に従って選択されなければならない。」と記述された文により、機械メーカーや設置業者、設計者などはドライブ機器メーカーの指示に基づいたリステッドケーブル以外の高性能VFD及びサーボケーブル(AWM)を指定することが可能になりました。
ULでは絶縁体の種類を定義しており、N4.4.2.8でいう絶縁体は以下の通りです。絶縁体とは、電気あるいは熱を通しにくい性質を持つ物質です。
例: ÖLFLEX® VFD 2XL シリーズ
(2)特定のケーブルの選択は、機器メーカーに委ねられます。これにより、上記のセクション 4.4.2.8 で指定されたケーブル以外の UL リステッドケーブルを指定できます。
(3)NFPA 79 2018: 第 12 章 - 導体、ケーブル、フレキシブルケーブル
NFPA 79 2018 年版からの抜粋
【ポイント】
(1)AWM の認証が取得されている場合、産業インフラストラクチャで使用が許可されている TC-ER、PLTC-ER、ITC-ER、CMG 等の他のリステッドケーブルも、産業プラットフォームで使用できます。
例:ÖLFLEX® TRAY II、UNITRONIC® 300、BUS CAN Tray など
(2)機器内配線用電線(AWM)は、メーカー指示に従い、認可済みの機器との使用で、産業プラットフォームでも使用が許可されています。
例:ÖLFLEX® 490 P、FD 90、Servo 9YSLCY-JB など
こうした背景より、昨今、高性能 VFD 及びサーボモータを使用した各国の機械・装置は、各国で作られた AWM ケーブルとともに米国に出荷されています。これは設置に必要な部品をすべて提供する「パッケージ」の一部として扱われています。
【グレーゾーン】
AWM ケーブルが機械装置内部など条件付きで使用する場合は、規定違反は問題はありませんでした。ところが AWM ケーブルが機械装置内部(機械の一部)から、ケーブルトレイへ、建物のインフラストラクチャからコントロールパネルまで、つまり NFPA70 が適用される範囲で使用されることが問題になってきました。更には、こうしたケーブルがコントロールパネルから機械装置へと配線された際に、固定や保護がされない「吊り下げられた」状態になっているといった問題にも発展しました。
AWM は NFPA70 で承認されているケーブルではないため、AWM ケーブルが産業用プラットフォームの域を超えて使用された場合は、その度に「グレーゾーン」が発生するという状況になっていました。
この問題に関して、TC-ER 規格のケーブルを使用することで、「グレーゾーン」を解決することができます。TC が付与されたケーブルは大規模燃焼試験 (UL 1277 Vertical Tray Flame 又は CSA FT4/IEEE 1202)への準拠が義務付けられているため、高耐火性であることが保証されています。-ER(Exposed Run)が付与されたケーブルは、金属外装ケーブル(Type Metal Clad : Type MC)で要求される破壊試験及び衝撃試験に合格するだけの強度を持つことが保証されています。
【LAPP TC-ER 取得製品】
◆パワーコントロールケーブル
- ÖLFLEX® CONTROL TM/CONTROL TM CY(シールド付)
- ÖLFLEX® TRAY II/TRAY II CY(シールド付)
- ÖLFLEX® SERVO 7TCE
- ÖLFLEX® VFD 2XL/VFD 2XL w/Signal
◆可動ケーブル
- ÖLFLEX® CHAIN TM/CHAIN TM CY(シールド付)
- ÖLFLEX® SERVO FD 7TCE
◆信号ケーブル
- UNITRONIC® 300/300S/300STP
近年、設計者は、拡大しつつある市場のニーズを満たす高性能で精巧な機械装置を設計するよう要求されています。モーターサイズや定格電圧、許容電流、環境条件等は非常に重要な要素であり、こうした要素すべてが正しいケーブルを選択する際に重要となります。ドライブモーターの精度を保つために、電気的性能を十分に考慮し、設計の段階から正しいケーブルを選択することが不可欠です。
高精度が求められるアプリケーションの場合、一般的には熱硬化性絶縁 VED/サーボケーブルが推奨されます。高可動で、取り回しの容易な小径のケーブルが必要なアプリケーションの場合は、熱可塑性プラスチック絶縁 VED/サーボケーブルが推奨されます。熱可塑性プラスチック絶縁ケーブルは、こうしたアプリケーション用の VED/サーボシステムに必要な物理的・電気的要件を満たしています。
【露出ケーブル -ER(エクスポーズドラン)の利点】
NFPA 79 2018 年版にはもう一つ重要な箇所があります。13.1.6.1 項では、エクスポーズド(露出)ケーブルについては、機器やシステムの構成に基づき、あるいは、機械装置内部にエクスポーズド(露出)ケーブルを設置してもよく、さらに、エクスポーズド(露出)ケーブルは、機械装置の外面及びフレームに沿って配線する必要があります。つまり、13.1.6.1 項では、コンジット又はケーブルレールを使用せずにケーブルを設置することが許可されており、費用対効果が見出せる設置が可能になっています。設置の際、特別な支持金具や固定ブラケットを使用せずに、機械装置に沿ってケーブルを束ねることも可能です。コンジットやケーブル固定用ブラケットなどを必要とする従来の設置方法と比べて、機械装置の設置にかかる時間や労力を削減でき、大幅なコスト削減につながります。13.1.6.1 項ではこうした種類の設置に関する、以前の「グレーゾーン」への解決策を提供し、規定遵守を保証します。
Exposed Run 【-ER】の要件を満たす UL リステッドケーブルを使えば、13.1.6.1 項で記載されている種類のアプリケーションを更に保護することができます。【-ER】要件に適合するケーブルは、破壊試験や衝撃試験の対象となります。【-ER】を付与したトレイケーブル(TC)は NFPA70(NEC:米国電気工事規程)の 336 条に詳細が記載されています。
●TC が付与されたケーブル
→大規模燃焼試験の要件(UL 1277 又は CSA FT4/IEEE 1202)に準拠しているので、産業インフラストラクチャ全体のケーブルトレイでの使用が許可されています。
●-ER が付与されたケーブル
→破壊試験及び衝撃試験の要件(Type MC)への準拠が条件のため、エクスポーズドラン(露出) での使用が許可されています。
【-ER】を付与した【TC】ケーブルは(NFPA70 336 条に準拠している限り)、ケーブルトレイから関連機器までの距離を自由な経路で延長が可能という利点があります。
※トレイから装置・機器間の配線に、物理的な障害がない場合、
→6ft(1.8m)以内の場合は、保護・固定なしで配線可
→6ft(1.8m)以上の場合は、6ft(1.8m)以内の間隔で固定が必要
※トレイ端部から装置・機器へ配線する場合は、ケーブルの最小曲げ半径以下にならず、また機械的な固定が必要です。
【NFPA79 以外の配線規定】
NFPA 79 2018 年版で定義されていない配線に関しては、1.4 項で機械製造業者及び設置業者に NFPA70(NEC)670 条の準拠が適用されます。同様に NFPA70 670 条では、NFPA 79 の準拠を認めています。
例えば、通信アプリケーションの場合、UL Type CMG は NEC Article 800 で認められているケーブルタイプですが、産業用プラットフォーム(機械・装置)上で使用する場合はNFPA 79 規格に準拠している必要があります。
なお、すべての UL リステッドケーブルが NFPA 79 の要件を満たしているわけではありません。特に低価格電線・ケーブルや固定使用のケーブルは要件を満たしていない可能性があるので、注意が必要です。
【UL 規格においての LAPP の立ち位置】
産業用プラットフォームで使用されるケーブルは、幅広いアプリケーションに利用可能であり、厳しい産業環境への耐性も要求されます。またグローバル市場でのアプリケーションで使用可能なケーブルである必要もあります。LAPP のマルチ認証ケーブルは、各国の認証に加え、IEC 準拠の導体構成(㎟)と北米(AWG)に適した撚線を採用しているため、グローバル市場でのアプリケーションに最適な選択肢となっています。
産業用プラットフォームには、固定や可動のアプリケーションに対応できるケーブルが必要です。AWM では、標準的な汎用タイプではなく、可動パフォーマンスに特化した絶縁体及びアウターシースのケーブルを取り扱っていました。
2012年以来NFPA 79ではAWMは継続して、産業用プラットフォームで使用可能(NFPA79 12.9 項)でありますが、使用制限もある為、昨今、全体の機械・機器・設備でもすべてリステッドされたケーブルを使用する傾向になってきています。
LAPP は、「産業用プラットフォーム NFPA79 及びその建物のインフラストラクチャNFPA70(NEC)の両方を 1 本のケーブルで対応する」という、リステッドされたケーブルソリューションを提供しています。それは、固定配線用途に限らず、電気特性と物理特性を保持した可動用途もサポートしています。
機器や機械装置に使用されるケーブルも、設備に掛かるコストと同様に考慮することが重要です。ケーブル固有の特性を無視したり、軽視したりすることで、逆にコストがかかってしまう可能性があります。回避できるはずのダウンタイムが生じたり、危険性の高 い、生死に関わる状況まで発展したりする場合もあります。産業用機械の製造及び設置に関して、NFPA は NFPA 79 2018 年版の発行を通して、人と財産に対する安全性を継続的に向上させています。
NFPA 79 2018 年版で AWM は配線方法として認可されていますが、機械メーカーや設置業者、請負業者などは、AWM の使用を産業用プラットフォームに限定するため、引き続き注意する必要があります。また、AWM は NEC (米国電気工事規程)では認可された配線方法ではないため、適切な UL リスティング(TC、PLTC、ITC 等)と二重に付与されていない限り、産業用インフラストラクチャでは、使用が認められていません(UL リスティング TC、PLTC、ITC 等は除く) 。検査の際には、使用されているケーブルはいずれも監督機関(AHJ)による検査の対象となることに注意してください。ケーブルに関する最終的な判断を下すための経験及び適切な資格を持つのは、AHJ だけです。
LAPP では、NEC (米国電気工事規程)の規格又は NFPA 79 の規制の一部に関する解釈についてサポートさせて頂きますが、最終的な仕様検討と確定は、お客様にてご判断いただく様お願い申し上げます。