【最新版】シングルペアイーサネット(SPE)―新たなフィールドバス 

最新データ伝送テクノロジーシングルペアイーサネット(SPE)は、フィールドレベルでの連続リアルタイムデータ伝送が実現可能です。ケーブルのスペックについては、SPE Industrial Partner Networkで固まっていますが、コネクタ規格標準に関しては、現在のところ標準規格の決定がなされていません。しかしながら、新しいIIOT技術を迅速に導入するには、統一された伝送規格が急がれています。LAPPでは、SPE Industrial Partner Networkソリューションを提供しています。

 

プレスリリース

4ペア線の代わりに、シングルペアイーサネットは1ペア線で構成されています。

本プレスリリースのPDFは下記よりダウンロードいただけます:

 

シュトゥットガルトー2020年8月6日

 

LAPPドイツのIndustrial Communication製品開発責任者であるRalf Moebus氏は、次のように述べています。

これまで何十年もの間、フィールドバスはファクトリーオートメーションなどの通信に使用されてきました。しかし、近年、限界に近づいてきており、最新のスパートファクトリーの通信要件を満たすことができなくなってきました。これに対するソリューションは、IPベースネットワークであり、主に銅導体を持つイーサネットケーブル、場合によってはWifiや光ファイバーを介して工場に使用されています。この技術は、PCとサーバ間の通信など、ネットワーク構築で既に多く利用されています。それのメリットとしては、イーサネットでネットワーク構築を行えば、トポロジーをより柔軟に構成できます。データ転送速度が遥かに高いため、同じネットワークを介して様々なサービスを運用できます。関連技術の標準化により、ネットワーク遷移が減少し、センサーレベルからフィールドレベル、さらには、在庫管理システムやクラウドまでの統合通信システムが構成できます。その結果、より簡単に計画管理や保守が可能となります。統合されたIPベースのネットワークなしでは、インダストリー4.0・スマートファクトリーの実装は不可能です。データは常にいかなる場所からでも利用可能である必要があります。

新たな課題

フィールドバスをイーサネットに置き換えるということは、特に配線技術において、新たな課題をもたらしました。最もよく知られている事例では、PROFIBUSはバスケーブルで1ペア線でしたが、PROFINETは100Mbit/s イーサネットに2ペア線が必要です。一部のアプリケーションでは、ギガビットイーサネットが既に工場で使用されており、4ペア線が必要です。つまり、フィールドバスと比べ、必要な現場配線工数、誤配線する可能性が増えてしまいました。加えて、2ペア線ケーブルよりも4ペア線ケーブルの方が、コストが高くなります。上記に挙げられた点が、イーサネットがセンサーレベル(センサー・アクチュエータ)に至るまで普及しなかった理由です。代わりに、素早く簡単に配線できるソリューションが生き残りました。しかし、上位レベルのイーサネットに接続するには、追加のトランスレータ又はゲートウェイが必要です。これには専門知識が必要なだけでなく、システム設計・配線作業及びケーブルコストも増加します。しかし、シングルペアイーサネットでは同時に配線工数も削減でき、多くのメリットがあります。

シングルペア線によるソリューション

その名前の通り、シングルペアイーサネットにより、シングルペア線を介したイーサネットベース通信が実現可能です。この新技術は元々、ネットワーク強化に必要な重さやスペースを削除するため、輸送機関向けに開発されました。この分野でも、イーサネットは多くの異なる通信システムの標準化を目的として使用されています。2ペアや4ペアからシングルペア(1ペア)に削減できるため、産業オートメーション技術分野でも注目を浴びています。コネクタは、主に現場配線する事も多く配線工数や誤配線を大幅に減少させることが可能です。またケーブル配線に必要なスペースや部材コストも削減できます。
標準化は、新しい通信システムがマーケットに広く浸透するために重要です。シングルペアイーサネットは、いくつかの国際標準でカバーされています。


産業関連であれば、以下3つのIEEE規格が様々なアプリケーション用に定義されています。

 

IEEE 802.3 bp規格の定義:

  • シールドケーブルの場合=最大距離40m
  •  非シールドケーブルの場合=最大距離15m

上記距離を1 Gbit/sで通信する物理層

ファクトリーオートメーションで考えられるアプリケーションでは、制御盤内のギガビット通信デバイス又はギガビットカメラなどの高データレートのセンサーがあります。

 

IEEE 802.3 bw規格の定義:

  •  シールドケーブルの場合=最大距離40m
  • 非シールドケーブルの場合=最大距離15m

上記距離を100 Mbit/sで使用できます。

特に距離が短いため、この技術は制御盤内のデバイスを接続する場合にも役立ちます。現在100 Mbit/sのPROFINET、ETHERNET/IP又はその他インターフェースのあるPLC、ドライブ又はスイッチも含まれます。

 

IEEE 802.3 cg規格の定義:

シングルペアイーサネット(SPE)が組み込まれたIoT向けの通信規格です。
802.3 cgでは、従来のフィールドバスと同じケーブル長が可能です。

  • シングルペアイーサネット(SPE)=最大1000km

※従来、イーサネット=最大100m

また、ファクトリーオートメーションなど産業用で使用されるデバイス・コンポーネントには十分な10 Mbit/sの伝送速度を維持できます。長距離配線が可能になり、この技術はセンサー・アクチュエータ、フィールド、システムのアプリケーション、つまり、ネットワーク全体をシームレスに統合するのに最適です。
802.3 cgのもう1つの特徴は、マルチドロップと呼ばれる機能で、システムの分岐イーサネット接続に非常にメリットがあります。マルチドロップより、分岐ライン、つまりマスターラインからの物理的な分岐ラインを作成できます。通常スイッチは必要なく、Tコネクタでカバーできます。これにより、費用対効果の高いイーサネット接続を現場で実現できます。

ケーブル配線工数の削減

シングルペアイーサネット(SPE)は、デバイス機器への電力供給もカバーしています。Power over Dataline(PoDI)を使用すると、現在のPower over Ethernet(PoE)と同様に、データネットワークケーブルを介して電力供給が可能です。これにより、ケーブル配線工数を削減可能です。最大50Wまでの電力要件のデバイス機器(センサーなど)であれば、電力供給のためのケーブルを追加する必要はありません。

本文書記載の使用方法は、シングルペアイーサネットがもたらすメリットのほんの数例です。発展性のあるアプリケーションについては、現在も引き続き模索されています。ただしアプリケーション固有のネットワークインテグレーション及び配線ガイドラインは作成する必要があります。ガイドライン作成は、PROFINETやODVA for ETHERNET/IPなどのユーザー組織を含め開始されました。LAPPは積極的に関わっています。現在、ISO/IEC 11801やEN 50173などのシングルペアイーサネットケーブル配線のため、その他重要な標準が開発中です。LAPPは、シングルペアイーサネットインフラストラクチャにおける完全なソリューションを提供します。LAPPは初期段階でケーブルを開発し始めました。

●ETHERLINE T1製品シリーズ
産業用機械及びシステムで使用できるシングルペアイーサネット(SPE)ケーブルがリリースされます。

●【開発中】ETHERLINE T1 FD P
ギガビット用シールド付きAWG26ケーブルで、ケーブルキャリア等可動ケーブルバージョンとして使用できます。

●【開発中】ETHERLINE T1 FLEX
移動用のAWG22ケーブルで、100Mbit及びギガビットに適しています。

●【開発中】ETHERLINE T1 P FLEX
AWG18ケーブルで、10 Mbit/s及び1000mの距離向けです。

6つのコネクタインターフェイスをもつ標準

マーケットに広く浸透するには、標準化された統一のコネクタが必須です。SPE用コネクタはIEC 63171規格にて定義されています。この規格には、異なるコネクタインターフェイスが6つあります。IEC 61171-6コネクタは、市場でのポジションを確立できる可能性があります。また、SPE Industrial Partner NetworkがIEC 61171-6コネクタを普及されています。そこでは、現在、コネクタインターフェイスに関する様々な設計が特定のアプリケーション向けに開発されています。制御盤内のIP20エリアには、現在のRJ45のロックタブ機構と似たコネクタが使用されています。M8及びM12の原理にも基づいたコネクタも、IP67エリアの制御盤外での使用向けに現在開発中です。将来的には、1つのコネクタにデータ及び電力供給ができ、各コンタクトを介して送信されるハイブリッド版も計画中です。これにより、PoDIよりも多くの電力を必要とする機器にも電力供給できます。

今後の新技術

シングルペアイーサネット(SPE)は、現在マーケットへ浸透する準備ができている重要な新技術であり、より経済的で統合された産業用イーサネットネットワークが実現可能です。シングルペアイーサネット(SPE)により、従来はネットワーク化されていなかったスマートコンポーネントをネットワークに統合することができます。そのため、IoT、スマートファクトリー及びインダストリー4.0に向けて、非常に重要な技術といえます。

 

【LAPP について 】

 

LAPPは、ドイツに本社を置く、産業用ケーブルメーカーです。あらゆる海外規格やアプリケーション規格に対応したドイツ製の電線・ケーブル・ケーブルグランド・各種コネクタが総数約4万点のラインアップ。

LAPPでは、グローバルネットワークを生かして、ケーブルやコネクタ、ケーブルグランドに関する単品の販売とサービス、またパッチケーブル・ハーネスまでアプリケーション毎に最適なトータルソリューションを提供しています。また、お客様のご要望に合わせたケーブルの生産やハーネスの製造対応 も行っています。LAPP は世界各地に 20 の生産拠点、100 の販売店、43 の販売組織 を有し、現在の社員数は 4,575 人です。

ご質問やご不明点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。